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佐渡に向かうのは、
物書きの道子、引きこもりの弟、
古道具屋を営む父。
新幹線とジェットフォイルを乗り継いで。

祖父母の家の隣りに住む、
親戚のおばちゃんの納骨のためです。

腰まである弟の長い髪や
笑うとき目元をおさえる父の仕草を
少し離れた視点でおもしろがる私。

別々に暮らす三人の、初めての旅行。
微妙な距離感。遠慮と無遠慮の間。

お墓で、道子と弟が納骨する様子を
父が中継のように写真におさめる。
その時間はコミカルですらあります。

そして、うらぶれた湖畔のホテルで
三人とも、眠れない夜を過ごします。
だからといって誰かを起こしたり
することもなく。

淡々したタッチで描かれる道中ですが
三人の心にしんと降りていくのは
悼むという気持ち。

道子が納骨の旅へ行くことを決めた
心情が印象的です。

 愛している、愛していないというのは
 最近の感情で、「最近」ではない何かが
 私たちにピタリと触れてきた

全編を読んでいると確かに感じるのです。

それは、透明で静かで、
心が感知しないくらい奥底で
脈々と流れている。
ふんだんに。途切れることなく。

絆というものを想いました。近く遠く。



佐渡の三人佐渡の三人
(2012/09/26)
長嶋 有

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アイロン、マグライト、シュレッダー、
ジューサー、ズボンプレッサー。

この本は、家電をキーに様々な小説を
集めて書かれた、書評エッセイ集です。

家電がどんな存在で描写されているのか、
それが著者が注目しているところ。

電話のように、向こう側にある意味
(たとえば伝達)が重要なものではなく
できるだけ無機質に、淡々と、
異様なまで細かく描写されるのがいい。

そこから浮かび上がる空白のようなもの。

これは著者自身の小説「ジャージの一人」から。

 暗闇で電子レンジの輝きを、
 また腕組みをしてみつめる。
 レンジは物を暖める。
 だけどみていると、向こうが暖まって、
 その分なんだかこちらが寒いような
 感覚がある。

あ、いま夜中のキッチンにいる。
たぶん素足でスリッパをひっかけている。
少しだけ、心もとない気持ち。

イメージがふっとたちのぼってくる。
追体験する。
これですね。小説を読む楽しみは。

紹介される小説のラインナップも
素晴らしく、読み応えは十分。
ただ、著者の視点は少々(だいぶ?)
マニアックです。

取扱注意で、お願いします。



電化文学列伝 (講談社文庫)電化文学列伝 (講談社文庫)
(2011/11/15)
長嶋 有

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導線、という硬質な言葉にマジックをかけて
ふわりとやわらかいものを表現する。

そういうのが本当に上手だな、この作家は。
と思います。

ある真夜中から朝にかけて、
一組の男女が過ごす時間が綴られます。

真っ暗な部屋の中で眠る恋人を起こさないように
電気をつけず、そろりとリビングまで移動する私。

私が少し前にさかのぼって回想するのは
掃除機のルンバが、深夜のリビングに描く導線。
それから、私たちが描いた導線。

朝ごはんはコーヒーとフレンチトースト、
ソーセージを添えたサラダ。(美味しそう)

朝の光の中、ふたりでいることが
ただただ嬉しい。
うす桃色と萌葱色と日差しの金色が
淡くまざったような空気が伝わってきます。

印象的だったのは、

「生きているとだんだん、
 何かを見積もれるようになる」

というフレーズ。

見積もれるようで、見積もりきれない。
そういうのが一番楽しいんじゃないかな
と思います。



電化文学列伝 (講談社文庫)電化文学列伝 (講談社文庫)
(2011/11/15)
長嶋 有

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長嶋有、三冊目のエッセイ集です。

短いものから、長いものまで。
色々な雑誌に掲載されたものを集めています。

長嶋有の、
自意識過剰気味なエピソードが暴走します。
電車の中で読んでいたとき
何度も吹き出しそうになり、困りました。

ほとんどがゆるい雰囲気なのに
たまに、かたくなで繊細な一面が垣間見える。
そのアンバランスさが魅力です。

カフェ、というエッセイには、
メタリカのSweet Amberをかけて
40秒くらいしてから読んでください、
という指定があります。

YouTubeで探して、
実際やってみましたが、
これがすごく面白かったです。

音楽と文章のコラボレーション。
実験的な感じ。
ぜひ体験してみてほしいです。

もったいなくて読み終わりたくない…
手元に置いておきたくなるような一冊です。


安全な妄想安全な妄想
(2011/09/22)
長嶋有

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知らず知らずのうちに
ひとは自分の一番心地よい距離で
他人と関わるものなんだろうな、
と思います。

近すぎてもだめ、
遠すぎても違う。

アンティークショップで店番をする僕、
そのオーナー、大家さんの孫姉妹、
ご近所さん。

物語にでてくる人々は
素直になれなかったり、
傷を抱えていたりで
みんなこわごわです。

でも、日々の暮らしの中で、
少しずつ、関わりをもっていきます。

ストーブを届けてもらったり、
近道を教えてもらったり
誰かが誰かを手伝ったり。

太く真正面からつきあう感じじゃないから
頼りなく細いつながりです。

でも、それがだんだん確かものになっていきます。

低体温だけれど、
確かにぬくもりはある。

そんな作品です。


夕子ちゃんの近道 (講談社文庫)夕子ちゃんの近道 (講談社文庫)
(2009/04/15)
長嶋 有

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