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賢い箱があるという。

それは名文をつくる文箱で、書いた文を
入れて寝かせておくと、文意のままに熟成
し、作為のあとをきれいに消してくれる。
下手な恋文を入れておくのに最適という。

皆こぞって箱を欲しがる。
箱の価値はぐんぐん上がってゆく。
けれどいわくつきで、その箱を持つと
不幸がついてまわるという話もある…

箱は様々な人々の手に渡っていきます。
それを長い間探し求めてきた者、
贈り物として受け取る者、
思いがけず遺される者、
発見し算段する者。

物語はふつっと糸が切れるように
場面転換を繰り返します。
裏切られたような違和感を感じながら
形となっていく疑念。
この箱は生きているのしれない。

箱はひとの思念をまるごと飲み込んで、
じわりじわりと発酵していく。
蓋に耳を当てたら誰かの囁きや叫び声が
聴こえそうなほどに。

狂ふべき時に狂わず花は葉に

物語の中で詠まれる句の持つ、桜の無念が
私をさらなる闇へといざないます。

重い雲が垂れ込めた真夜中、誰もいない
野原で満開の桜が微かな風に揺れている。
手招きされているようで、ふらふらと
その妖しい美しさに手を伸ばす。
そうしながらも私を知っている、
この桜は腐っている…

そんな瀬戸際の危うさに捕らえられた私は
もしかすると文箱の中で
長い夢を見ているのかもしれません。



短篇集短篇集
(2010/04/20)
クラフトエヴィング商會、石川美南 他

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タタド?

タイトルにぐっとつかまれました。

読んでみるとそれは、
静岡の多々戸海岸のことでした。

中年の夫婦が住む海辺の別荘に、
男女ふたりが招かれて、一晩をすごします。

言葉と行動、
その後ろ側にある、大人すぎる心情。

かすかな不協和音が聴こえてくるような
とりあわせてはいけない色が
わずかにまざっているような。

何かをほろぼすような声の
女性ボーカルが歌う中
大人たちはダンスする。

そして決壊。

本を読んでいて、
こんな角度で、心を動かされたことはないかもしれません。

今までみたことのないオブジェに魅入るような感じ。

個人的には好きすぎて針が振り切っています。


タタドタタド
(2007/07)
小池 昌代

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