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私は猫が好きなので、よく猫エッセイを
読みますが、町田康のものは特別です。

猫に対する姿勢が実に真摯なのです。

自宅で買う猫と、仕事場で保護団体から
預かる猫、計9匹と暮らす著者は
家人と強力しあい、献身的に猫に
接します。

献身的というと美談のようにきこえて
しまいそうですが、
かけがえのない命を預かり、ともに暮らす
という視点の彼らにとっては
猫に対して真摯に接することは
ごく当たり前の、自然なことなのです。

今の地球上では、ヒトは、他の動物よりも
優位な立場にいるようになっているけれど
その感覚自体を疑う機会になります。

と、固く紹介してしまいましたが
エッセイの中では町田康・神の筆致が
存分に楽しめます。

クラシカルで流麗な日本語で、
延々と続く妄想や仕事をさぼる言い訳、
猫たちがのたまう台詞などが
縦横無尽に書き連ねられ、
おもしろきことこの上なしです。

このひとの文章からは、なぜか
天井がない印象を受けるのですよね。

猫達はどの子も個性的で、独立独歩。
写真がついているので、文章と写真を
行ったり来たりしては
この子がエルかーちっちゃいなあ、ふふ
とぶつぶつ呟く自分にはっとしたり。

ついさっきまで家猫、ゲンゾーの章を
読んでいて、心がひたひたに…

まだ目の奥に水たまりが残っています。



猫のあしあと (講談社文庫)猫のあしあと (講談社文庫)
(2012/12/14)
町田 康

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町田康の猫エッセイです。

自宅で4匹の猫を飼い、
仕事場では6匹を施設から預かり、
総勢10匹と暮らす著者は
突然思い立った引っ越しにより
六本木から伊豆まで大移動します。

自宅の2匹は、伊豆の物件を探している
途中で拾ってしまった、子猫2匹です。

雨に打たれた瀕死の子猫を救出したり
猫の部屋を作るためにあれこれ奔走したり
脱走して野生化してしまった一匹を
なんとか手懐けようとしたり。

猫とともに生きる、苦楽に充ちた日々が
独特のパンクでコミカルな語り口で
綴られていきます。

たまに、猫が話している言葉を翻訳して
いるのが面白い。
「このおっさんは、飯のおっさんだ」
「君は間違っている」
「腹に乗せて背中を撫でさせてあげても
いいよ」

それぞれの猫の写真が差し挟まれている
ので
これを言っているのはこの猫か…
まるで王者のようだ…
と、頁を行きつ戻りつ想像することが
できます。

猫は気高い。
何かを得るために何かを我慢するという
発想がない。
依存がないから、遠慮もない。

ああ、なんて優雅で自由なのでしょう。



猫とあほんだら猫とあほんだら
(2011/05/13)
町田 康

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草木染めでもしてみようか。

道端の草をみて突然思い立った男、惟安は
草木染め工房を見かけた記憶を頼りに
とある盆地に出向きます。

記憶の場所には工房がなく、
諦めきれずに川沿いを散策していると
亡くなったはずの父と再開します。

父の服装が異様すぎて惟安は絶句します。
肌の微妙な露出、アクセサリー、パーマ…

その格好は?恐る恐る惟安が尋ねると
私は大日如来となったのだ、と父。
よくみると確かに大日如来スタイルです。

父はいいます。惟安家を再興してほしい。
そのためにお前の未来記を教えてやろう。
惟安はこくりと頷きます。

お前は一月生まれだから山羊だな
見えたぞ、お前には大きな使命がふたつ…

アングラ、町田ワールドの渦に
あっという間に飲み込まれていきます。

来年、再来年に起こる出来事を朗々と語る
大日如来は「髪の分け目を変えてみると
いいでしょう」などとその時期の星占い
らしきアドバイスを差し挟んだりする。
山羊経の暴走は止まらない。うわあ。

パステルカラーで塗られた劇画タッチの
大仏如来が、歪んだり膨らんだりしながら
ふわふわと目の前に浮かんでくる感じ。
シュールとコミカルを八対二で割った世界
…あれれ、混ぜ合わせのせいかぶくぶくと
気泡がたってきた。気泡は溢れ出して
一気に天に上がり青空に虹をかける。
なんてきれい。

大日如来となった父の予言は当たるのか。

当たるよね。だって毘盧遮那でしょ。
仏の中の仏でしょ。宇宙そのものでしょ。



群像 2013年 02月号 [雑誌]群像 2013年 02月号 [雑誌]
(2013/01/07)
不明

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いわずと知れた、源氏物語の末摘花です。

光の君は、世の中を無情と感じ、
真実の愛と美を分かちあえる女性に
出会うことを夢見ています。
千年の孤独を胸に抱えながら。

ある春の夜のこと。
故常陸親王の姫君、末摘花の
不遇な噂を聞いた光の君は、
心惹かれるのを感じ、邸に出向きます。

荒廃した邸から聴こえてくる、琴の音。
夜空には朧月。

かちり、と心の中で
何かがかみ合う音がします。
コノヒトカモシレナイ。

それから光の君は、
まだ見ぬ姫君に激しく恋をします。

幾度となく文を送るも、姫君はつれない。
ますます執心する光の君。(粘着質?)
季節は巡り、ついに想いを遂げますが
雪の朝に初めて見た、姫君のお姿は…

光の君の心情や、身近な者との会話が
テンポよく、くだけた調子で綴られます。
くるくる色が変わっていくような
カオス的疾走感。

笛でセッションしましょうよ、
舞楽のゲネプロがはじまって、
なんてフレーズが出てくるのも楽しい。

光の君って、もしかすると
はた迷惑な妄想男子なのかもしれない。

町田康が織りなす世界の独特なリズム。
ロックだなあ。



ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ
(2008/10/31)
江國 香織、松浦 理英子 他

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