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夜になりかけの頃、ジュンク堂に入った。
新潮六月号を買おうかと思ったけれど
見つからなかった。売れてるというのは
本当なのだな、と思った。
町田康の「雨女」が読みかけなのだ。

文庫コーナーに流れ、三浦しをんの
「光」をぱらぱらと読み始めたら
止まらなくなってしまった。
しをんマジックには、いつも圧倒される。
好みではない分だけ吸引力がよくわかる。

店を出たらすっかり夜で、何故か旅先に
いるような気持ちになる。
夜食に美味しいパンも買ったし、ホテルに
戻る前にちょっとだけスタバに寄ろうか
みたいな。自由だ。

夕方に読んでいた絲山秋子のセネガル紀行
が終盤にさしかかっている。少しずつ
大事に読んでいたから残念に思う。

彼女は二ヶ月の滞在で本当にセネガルが
好きになっていて、日本語で話したいこと
なんて何もない、 と泣いた。
もちろん気持ちはわからない、
けれど私もちょっと涙ぐむ。
迫ってくる感情の厚みに感応する。

絲山さんは私よりもっと低音で、
そこが心地いいのだ。

夜空の漆黒を見上げる。
今夜は風がない。




 
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美しいしつらえのカフェが好きなので
時間をみつけては出向く。
スペースがゆったりと広くて、ほとんど
物が置いていないような感じが好みだ。
そして、そういう場所には、ある程度
洗練されたひとたちに居てほしいと思う。

ひとも家具や調度品と一緒で、美観の
一部という認識なのだ。

たとえば雨に濡れそぼった満開の藤棚と、
水色のプールに浮かぶピンクや紫の
花びらをながめてうっとりしていたら
目の前の席に座るお客さんがいる。

美観を損なわれると、さっと体温が
下がるのを感じる。
がっかり、よりも毒を含んだ気持ち。

あるいはこんなに美観にこだわっている
のは私だけなのだろうか。

イタリアには網戸がないらしい。
めいろまさんの本で読んだ気がする。
日本には網戸というものがあり、
大変便利だ。虫が入ってこない。
とイタリア人に話すと
そんなものを窓につけたら美しくない
じゃないか、と返事が帰ってくるそうだ。

私はそこまで筋金は入っていないけれど
気持ちはよくわかる。

だってそれは本当に美しいでしょう
え、あれは全然きれいじゃないよね
私の中では、価値の基準として
非常に大きなウエイトを占めている。

美しくきれいなものを呼吸するように
鑑賞することが、私の趣味なのだろう。
ほかのひとが野球観戦をしたりガンプラを
組み立てたりソーシャルゲームをしたり
するように。

ガンダムにはひとが入っているんですよね
というレベルの私みたいなことなのかも
しれない。
美観にまったく関心がないということは。

なんとなく中庸を見出した気がする。
お茶の続きに戻ることにしよう。



 

 

 

 

 
久しぶりの休日スタバです。

傍に本を積み上げて、英語の基礎構文を
聴きながら幸せをかみしめています。
ああっ、時間があるって、最高…

CEOの旅行が取りやめになったのには、
特別な理由があった。

という英文を読んでいて、CEOには
どんな理由があったのだろう、と考えて
いました。

例えば外資系企業から株の公開買い付けを
仕掛けられたとか。
愛犬のドーベルマンが病気で危篤とか。
その両方とか。

CEOはどんなふうにそれらに対処するの
だろう。
きっと、愛犬にできるだけつきそいながら
電話で有能な部下たちへ冷静に指示を
出すのだろう。
隣で妻が取り乱して泣きじゃくっている、
その肩を強く抱きながら。

緊迫した状態が何日間も続く。
妻をなんとか眠らせて、彼は愛犬の
耳元で声をかけつづける。

会社の騒ぎがなんとか良い方向に
落ち着いた頃、
愛犬はそっと息をひきとる。
まるで笑っているみたいに安らかに。
彼は愛犬の亡骸をぎゅっと抱きしめ、
頬を寄せる…

ちょっとちょっと。

そんなことを考えているから勉強が
すすまないんじゃなくて?

はい、では、次の構文。

彼女は上司がなぜベイリー氏に招待状を
送らなかったのか知らなかった。

なぜ…
…………


 

 

 

 

 
最近、近くのスターバックスが順番に
改装をしている。
今日は久しぶりに、午後の日差しが
心地いい路面店の扉を押した。

以前より色使いがシックで、
席もゆったりと配置されている。
空間は大事だ。
内装が変わっただけなのに、なんだか
別の店みたいに感じる。

隣の席の女の子たちは、パリ旅行の相談を
しているようだ。
心地いい音の地名がいくつも聴こえて
くる。

パリには一度だけ行ったことがある。
ずっと前の話だ。
毎朝、日の出前にバゲットとクロワッサン
とカフェオレの朝食をとった。
ジャムをたっぷり塗って、カフェオレに
ひたひたに浸して食べればよかったと、
今になって思う。

ルーブル美術館とオルセー美術館に
連日通った。
壁を、天井を埋め尽くす圧倒的な量の
絵画に、ふらふらと酔ったようになった。
魂を抜かれるとはこのことだと思った。

それ以来、一度も宗教画を見ていない。
あのとき一生分を摂取したように思う。
もしかすると私は絵画が苦手なのかも
しれない。

パリは真冬で、乾いていた。
石畳も、空気も、それから水も。
水が乾いているというのは正しくない。
硬いのだ。

自分は温帯湿潤気候に住むアジア人
なのだと感じた。
湿度や柔らかな水、そして汁物にひどく
焦がれた。
たった七日間の旅の最中に。

パリの街並みは申し分なく美しかった。
昼も夜も、セーヌ川を歩いて渡った。

けれど、もう一度行きたい場所では
なかった。
相入れない、と肌が感じたあの記憶。

最近になってまた、パリに惹かれている。
どうしてかはわからない。

しかるべき時間が巡ったのかもしれない。


 

 

 

 

 
出がけにダウンジャケットの袖口の汚れが
気になって立ち止まる。
そうなったら最後で、おもむろに洗面台で
部分洗いを始めてしまう。

今日はお休みだから、朝のスタバで
本を読んだり色々調べ物をしようと
目論んでいたのだけど。

結局予定より二時間押しでスタバに到着。

入り口で窓を拭いていたスタッフの子に、
あれ、珍しいですねこんな時間に、と
声をかけられる。
今日仕事休みなんですよね、と立ち話。

カウンターでオーダーをしながら
別のスタッフの子に、
こんな時間も来られるんですね
あ、今日仕事休みでね…

毎日のように行くので、スタッフの
女の子たちとはいつの間にか顔見知りに
なっていて、ちょっとしたおしゃべりに
ほっこり和む。

今日の課題図書は二冊。席について
ゆっくり頁をめくりはじめる。
隣の席は忙しなくて、私がいる間に三人
入れ替わった。

二番目のひとは白紙のノートを広げ、
何かを書こうとしているのだけれど
どうしてもアイデアが浮かばないよう
だった。電話をかけるために何度も席を
外した。

三番目のひとはノートパソコンを広げて
集中して何かを打ち込んでいた。
かかってきた電話に出ると、…その場合は
親権を取れない場合がありますが
と判例について話しているようだった。

本を伏せてぼんやりとしていたら
窓を拭いていたスタッフの子がやってきて
声をかけられる。

これ、私たちから
メリークリスマスということで…
と小さなプレゼントをいただく。

嬉しいな、こういうの。

スタバにはお茶を飲むというより、
読書や考えごとをするための時間を
買いにきている。
それは今も変わらないのだけど、
思わぬ交流が生まれたり
ささやかな優しさを受け取ったりする。

スタバの天使たちは確実に日々の私を
救ってる。


 

 

 

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