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バスの事故で即死した、主人公の野村と
親友のかよちゃんは今、地獄にいる。

ふたりはそれぞれ新設の地獄に送られる。
野村は現世で物語を摂取しすぎた罪だ。

日々、担当の鬼、権田さん監督の元で
野村はさまざまな試練プログラムを行う。

例えば、自分が生きていた頃に読んだり
観戦した物語やスポーツの、波乱シーン
を追体験させられる。
日に何度も様々な手段で殺される、
ツールドフランスに出場し、下り坂で
追い込みをかけて崖から落下する。
また別のプログラムでは、結末の頁が
破られた長編小説をくる日もくる日も
読ませられる。

一方のかよちゃんは、おしゃべりの罪だ。
野村とかよちゃんはプログラムの最中に
偶然再会する。その頃かよちゃんは担当
の鬼、西園寺さんの不倫の相談を受けて
おり、それは野村にも接点があった…

短編小説でこのタイトル。どんな話かと
思ったら、からっとしていてコミカルで、
始終くすくす笑いながら読んだ。

しかも野村は職業が作家なのだ。物語漬け
の人生。物語が枯渇しては生きてゆけぬ
人種というのがいるのよね…私も含め。

間違いなく私も野村と同じ罪でお勤め
決定だ。ひととおり予行練習したような
気持ちになる。
私なら井戸の底から出られなくなったり
しそうだな、と想像する。

かよちゃんのプログラムはここには
書かないけれど、かなり笑える。

あぁ、面白かった!


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(2014/01/07)
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定年退職した独身の男が、都会から
故郷の田舎町に越してきます。

男は昔住んでいた家のそばに部屋を決めた
ばかり。ぶらぶらと町を散歩します。

両親の菩提寺、
その向かいにあるうどんの製麺所。
道路に並ぶシロアリ駆除の大きな看板、
平屋建ての巨大なスーパー。
昔と変わった風景と変わらない風景と。

思い出の中にある映像と今の風景を
二重写しにするように、男はひとり
眺めていきます。

その中に混じりこむのは
多分少年だった頃に男が飽くことなく
見つめ、胸に刻まれた風景。

道の先に見える海。
いつも見上げていた水色の給水塔…

川端康成文学賞を受賞したこの短編、
淡々と続く描写はどこに行き着くのだろう
と思いながら、いつのまにか私も
男と同じ風景をみていました。
クロスバイクに乗って走る速度で。

読み終わってからしばらくうずくまって
動けませんでした。
私にも帰りたい風景があることを
ぎゅっとリアルに知ったからなのかも
しれません。

胸の中の空が一段明るくなった感じがして
その余韻を長く味わいました。

素晴らしいという褒め言葉は、
きっとこういう小説のためにある。
そう強く、思ったんです。



新潮 2013年 06月号 [雑誌]新潮 2013年 06月号 [雑誌]
(2013/05/07)
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今日、書店で手に取った一冊は
はっとするほど美しい装丁だったのです。

この詩集は、
谷川さんの36編の短い詩に、
佐野洋子さんがエッチングをつけた
贅沢なもの。

ふたりが一緒にいたころの
谷川さんからの恋文なのでしょう。

一部引用してご紹介します。

「未生

 あなたがまだこの世にいなかったころ
 私もまだこの世にいなかったけれど
 私たちはいっしょに嗅いだ
 曇り空を稲妻が走ったときの空気の匂いを
 そして知ったのだ
 いつか突然私たちの出会う日がくると
 この世の何の変哲もない街角で」

36編から伝わってくる想い。

生まれる前からあなたと出会うことは
きまっていて、
身体のどこかはそれをずっと知っていた。
あなたにようやく会えた、
それが私が生きている意味だった。

あなたに会えて嬉しい、
何気ない日々を共に過ごせることが
嬉しい。

あなたという宇宙を、
この両腕でまるく包む。そのまま。

最後まで読み切らないうちに
感電したようになってしまいました。

こんなふうに想われたら
永遠、というものを感じられる。
時間の扉がぎい、と閉じていく音が
聴こえるはず。きっと。



女に女に
(2012/12/05)
谷川 俊太郎

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詩人・谷川俊太郎は
どんな暮らしをしているのだろう?

この本は、
彼の普通の日々が書かれたエッセイ集です。

食事のこと
とりとめもなく考えていること
昼寝と午睡について
家族のこと
花の名前を知らないこと

その日々は、
こざっぱりとして、おかしみがあり、孤独。

多分物事を、あるがままの質量で
捉える才能があるのだな、と感じます。
右脳的なひとなのに、
ボリュウムが、変に大きくならないというか。

そこが彼の魅力なのでしょうね。

ダライ・ラマ14世の講演を聴きにいったことが
書かれた日記があるのですが
温かみがじんわりと伝わってきて
すごくいいんです。
たぶん、
何度も読み返すんじゃないかなと思います。



ひとり暮らし (新潮文庫)ひとり暮らし (新潮文庫)
(2010/01/28)
谷川 俊太郎

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