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珊瑚、21歳。雪、生まれたばかり。

夫と離婚し無職の珊瑚が、不思議な魅力の
ある女性、くららと出会い、人生が急速に
動き出します。

珊瑚はくららに雪を預けてパン屋で
働きはじめますが、途中、自分のやりたい
こと、人に提供したいことに気づきます。
そして手作りのカフェを立ち上げ、
軌道に乗せていきます。

珊瑚は家庭の温かさを知らない女の子で、
世の中の普通や常識がわかりません。
なんとなく、やこれくらい、がないけれど
代わりに強いエネルギーを秘めています。

彼女は周りの大人や仕事仲間たちと時間を
過ごすことで、葛藤しながらも少しずつ
色々なことを学んでいきます。
その過程で読み手は一緒にはらはらしたり、
じんわり心が温まったりします。

物語を彩るのは
シッターであり料理の先生、くららの
滋味溢れるスープやお惣菜。
貴行や時生が作る有機農場の野菜、
土壁で塗られた静かなカフェ、
店を森のように覆う深い緑。
そしてすくすくと育つ雪の成長過程。

それではカフェ雪と珊瑚、メニューを
ご紹介します。

細切り牛肉とセロリとアスパラ、そして
松の実
アドリア海のタコサラダ
エビとブロッコリ
クミンシードとタイムのハンバーグ
アボガドとサーモンのポテトサラダ
鱈と茸の生クリーム煮
おかずケーキ(ケークドサレ)

さて、いつ行こう?



雪と珊瑚と雪と珊瑚と
(2012/04/28)
梨木 香歩

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f植物園に赴任した園長である主人公は
ずっと放置していた奥歯の痛みの
治療に通いだしますが、それから
奇妙な世界を見るようになります。

たとえば、歯科医を手伝う奥さんの
顔が犬にかわっているのに気づいたり
大家の女性が雌鶏の頭に見えたり。

どうやらこのf郷では前世の姿が
見えることがあるらしいのです。

園の敷地内に、水生植物園、隠り江を
作らなくてはならない。
湿地に水の流れを呼びこまなくては
ならない。

天命を受けたようにつき動かされる
園長は、一方で過去に心を強く
引き戻されていきます。

若くして亡くなった妻のこと、
生まれるはずだった子供のこと、
もっとずっと前の、自分が子供だった頃…

深い森の中にいるような心地になります。
犬雁足、白木蓮、椋の木。
さまざまな植物の名前が出てくるたびに
画像を検索して読み進めるのも楽しい。

現実とずれた世界が交錯するので
あれ、あれっ?
と戻って読み返したりするうちに
梨木果歩の作り出す世界に
すっぽりと入り込んでいきます。

物語を追って理解するというより
身をひたすようにして読む楽しみ方を
久しぶりにした気がします。

とてもとても、
遠くまで行った気持ちになれますよ。



f植物園の巣穴 (朝日文庫)f植物園の巣穴 (朝日文庫)
(2012/06/07)
梨木 香歩

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スイートなタイトルなので、
軽い気持ちで手にとったのですが
そのシリアスさと深遠さに驚かされます。

この随筆集は、著者の英国その他海外での
滞在記および交友録です。

関わる外国の人々とのエピソード、
アジア人として別の国に立つということ、
わかりあえるひと、それがかなわぬひと、
ぐっと胸をつくような思い出。
それらが渾然一体となり濃密につまって
います。

中でも特筆すべきは、
著者が学生時代に下宿していた家の女主人
である、ウェスト夫人の生き方です。
様々な国のひとを分け隔てなく下宿させ
まるでファミリーのように接する彼女の
崇高な博愛精神。

それぞれの国の文化や宗教を、その背景に
よって形成されたあらゆる人格を
ありのままに受け入れて共に暮らすと
いうこと。

好きにはなれない、理解はできない。
けれど受容する。

読みながら、自分の中の大きくて重い石の
ようなものが、ごろりと動き出すのを
感じました。

幾つもの国を旅して、その土地に
リアルに触れたような気持ちになれる。

ひとつひとつの章が大粒の真珠のよう。
大事に読みたくなる素晴らしい一冊です。



春になったら苺を摘みに (新潮文庫)春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
(2006/02/28)
梨木 香歩

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梨木香歩に似た作家を私は知りません。

学者かと思うほど自然界に造詣が深く、
かっちりした文体で独特の深い世界を
構築する、特別な存在です。

このエッセイ集では、著者がカヤックで
国内、海外の湖や川へ漕ぎ出していく
体験が書かれています。

音もなく水面を割って進んでゆく情景、
透明な水の流れを眺めながら
浮かんでは消えるとりとめのない想い。
読んでいると一人旅をしているような
感覚におちいります。

海のエピソードも多く書かれていますが
なかでも興味深いものをひとつ。

天女の羽衣を隠した男が、女を妻にするが
ある日女は自分の羽衣をみつけ、
夫を置いて天の国へと帰ってしまう。
有名な「天女の羽衣」のストーリーです。

このストーリーは
世界各地で採集されるらしいのですが、
スコットランド版になると
羽衣が、アザラシの皮になるそうです。

…自分の皮を見つけた女は
さっと身につけて海豹の姿に戻り
海へ飛び込んでしまう。

なんだか童話的、と思いますが
動物園でしかアザラシをみたことのない
日本人とは、アザラシの存在が
全然別のものなのだろうな、と感じます。

アザラシのいる水底の国は
竜宮城のような世界かもしれません。

気の向くまま、開いた頁から読み始めると
ひたひたと水辺の気配に包まれる。
深い静寂が訪れる。

贅沢な時間が、ここには流れています。



水辺にて on the water / off the water (ちくま文庫)水辺にて on the water / off the water (ちくま文庫)
(2010/10/08)
梨木 香歩

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佐渡に向かうのは、
物書きの道子、引きこもりの弟、
古道具屋を営む父。
新幹線とジェットフォイルを乗り継いで。

祖父母の家の隣りに住む、
親戚のおばちゃんの納骨のためです。

腰まである弟の長い髪や
笑うとき目元をおさえる父の仕草を
少し離れた視点でおもしろがる私。

別々に暮らす三人の、初めての旅行。
微妙な距離感。遠慮と無遠慮の間。

お墓で、道子と弟が納骨する様子を
父が中継のように写真におさめる。
その時間はコミカルですらあります。

そして、うらぶれた湖畔のホテルで
三人とも、眠れない夜を過ごします。
だからといって誰かを起こしたり
することもなく。

淡々したタッチで描かれる道中ですが
三人の心にしんと降りていくのは
悼むという気持ち。

道子が納骨の旅へ行くことを決めた
心情が印象的です。

 愛している、愛していないというのは
 最近の感情で、「最近」ではない何かが
 私たちにピタリと触れてきた

全編を読んでいると確かに感じるのです。

それは、透明で静かで、
心が感知しないくらい奥底で
脈々と流れている。
ふんだんに。途切れることなく。

絆というものを想いました。近く遠く。



佐渡の三人佐渡の三人
(2012/09/26)
長嶋 有

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