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今夜はハロウィンだから
パンプキンのパイでお茶しようかな。

仕事帰りにふらっとミスドに寄ったけれど、
パンプキンものはすべて売り切れ。

じゃあ、アップルパイにしよう。

お店は、少し明るめの照明。
おしゃべりをする制服姿の女の子たちや、
窓の外をみている仕事帰りの女性が点在する。
雨宿りかもしれない。

ここではポップな短編が似合う。
からっとしていて、温かい雰囲気の。

伊坂幸太郎の「透明ポーラーベア」とか、
「チルドレン」もいい。

さくり、と噛むと
ほんのりしたりんごの甘み。
パイ生地からバターのコクが
ふわっと口の中に広がる。

あ、私
パンプキンパイよりアップルパイのほうが
ずっと好きなんだった。



 
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今年は、ことのほか紅葉の色づきがきれいです。
寒暖の差があったからかもしれません。

公園のベンチにすわって飽くことなく
黄色く色づいた葉と
向こう側に透けて見えるうす青い空をみていると、
茨木のり子の「倚りかからず」という詩が
思い出されます。

引用してご紹介します。


「もはや
 できあいの思想には倚りかかりたくない 
 もはや
 できあいの宗教には倚りかかりたくない
 もはや
 できあいの学問には倚りかかりたくない
 もはや
 いかなる権威にも倚りかかりたくない
 ながく生きて
 心底学んだのはそれぐらい
 じぶんの耳目
 じぶんの二本足のみで立っていて
 なに不都合のことやある
 倚りかかるとすれば
 それは
 椅子の背もたれだけ」


凛とした佇まいが伝わってきます。
それから、そこはかとない哀しみも。

こんな詩は、深まる秋によく似合いますね。



倚りかからず倚りかからず
(1999/10)
茨木 のり子

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Twitterで少し前から話題になっていました。
飛び交うのはシュールという言葉。
気になって手に取りました。

著者は、劇団をやっている方なんですね。

短編集なのですが、
物語によってホラーテイストだったり、
絵本的だったり、
戯曲っぽかったりさまざま。

現実の世界で垣間見る、誰かの狂気。
非現実的な世界の、真実。

色つきの、プラスチックでできた悪夢みたい。
ある瞬間、そのプラスチックには
細かい亀裂が入りばらばらと床に落ちる。
破片には誰かの赤い涙。

とても視覚的で、
ゆがんだ色彩のイメージが押し寄せてくる。
ぐらりと酔ってしまいました。

強烈な映像を観たあとのような感じに
近いかもしれません。

個人的には、傘とクッキーの話が好きです。


嵐のピクニック嵐のピクニック
(2012/06/29)
本谷 有希子

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ホームドラマみたい、と思いました。
読み始めた、ほんの最初のうちは。

この物語では
お惣菜屋「ここ家」を切り盛りする、
還暦あたりの女たち3人と
出入りするお米屋さんの青年との
にぎやかな日々が描かれています。

サツマイモと一緒に煮るなら
鰤と烏賊どっちにする?
トウモロコシは一本だけつけ焼きにして
おやつにしましょうよ。

合間合間に回想されるのは、
女たちの元夫や子供や恋人のこと。
さみしさやあきらめが
からりと、時にはほとんど痛いくらいせつなく。

あえて目を向けようとしなかったこと。
慣れてしまうこと。
長く長く時間をかけてようやく気づくこと。

さまざまな思いを受け止めながら
酸いも甘いも知った女たちは
円熟な微笑みをみせるのです。

なんといっても
お料理がおいしそうなんですね。

がんも、あさりフライ、
だし巻き卵、鰆の照り焼き、
豆ごはん、キャベツ炒め、
里芋のコロッケ、焼き穴子のちらし寿司。

ああ、おなかすいた。



キャベツ炒めに捧ぐキャベツ炒めに捧ぐ
(2011/09/01)
井上 荒野

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もし、辞書に、孤独という意味を載せるなら
この短いお話をそっくり引用すればいいと思う。

「ねぎを刻む」

ある女の子が、
夜、職場から帰宅するとき
「孤独」につかまってしまいます。

特にこれといった原因はないのに、
孤独は不意に訪れる。

家について、しばらくふさぎ、泣いたりもしますが
気を取り直して顔を洗い、ねぎを刻みはじめます。

誰かと話したいのに、誰かに会いたいのに
そうしたらますます孤独になることもわかっていて
自分でなんとかするしかないこともわかっている。

一心不乱にねぎを刻む。
涙で目の前が浅い緑色ににじむ。

おみそしるにどっさりいれて、
冷ややっこにもどっさりかける。
明日は何事もなかったような顔をしよう。

こういう夜は誰にでもあるんだなと思うと
少し救われます。

孤独には、正しい扱い方というのがあって
たぶん、こんなふうに向かい合うのがいい。
ごまかしたり、なかったことにしたりせずに。

長ねぎなら、冷蔵庫にいつもあります。



つめたいよるに (新潮文庫)つめたいよるに (新潮文庫)
(1996/05)
江國 香織

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白河夜船とは
周りの様子に気付かないほど
熟睡しているさまをいうそうです。

夜の河を渡ってゆく一艘の船。
そのイメージが美しくて、手に取りました。

この物語は、
恋に疲れ果ててしまった女の子が
眠りの世界にどんどんひきこまれていく過程が
静謐に描かれています。

彼女の恋人には妻がいて、
その妻は植物人間になってしまっている。

平行して現れるのが
添い寝ビジネス、という仕事をする
彼女の友人の死。

闇の中のような恋は、
長く続けると力が奪われていく。

ひとも植物も一緒だな、と思います。

真っ暗闇の、真冬の中にいる「保留」の感じが
リアルに迫ってきます。

幸福なのかそうでないのかわからない場所に
運ばれてゆく。
なすすべもなく流されて。

それは、物語としては世にも美しいのです。



白河夜船 (新潮文庫)白河夜船 (新潮文庫)
(2002/09)
吉本 ばなな

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風が冷たい季節になると
思い出すスープがあります。

Subject24に出てくる、
トマトと鯉のスープです。

映像作家である私は、
ハンガリーで、現地の中年女性ガイドと
夜の街を取材します。

ホテルのダイニングで、彼女は話します。
トマトの赤と鯉の透明な脂が
美しく分かれたスープをのみながら。

美味しいスープはちょっと恐い。

亡命を考えている友達の深刻な話をきいた彼女は
とても暗い気持ちでうちに帰り
おかあさんの作った鯉の熱いスープをのむ。
その瞬間、
あまりの美味しさに彼女の悩みを忘れてしまった。

(ここまで書いて、トマトのスープを作りにキッチンへ)

この小説集は、
わずか2、3頁の中に、こんなストーリーたちが
ぎゅっと描かれているのです。
料理と思い出と官能。

Subject8は、コートダジュール。

現実世界の音を嫌い、
一日中ヘッドホンで遮断している高名な老作曲家が、
ある音を聴いて、そっとヘッドホンを外す。

このストーリーは格別に美しいので、
ぜひ読んでみてほしいです。



村上龍料理小説集(村上龍)村上龍料理小説集(村上龍)
(1998/01/14)
村上 龍

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秋は、シュールレアリステリックな物語が似合う。

この物語は、
消えた人の捜索、を無償で引き受ける男のところに
依頼人がやってくるシーンからはじまります。

アイスピックのようなピンヒールをはいた女は
事情を話します。

パンケーキを焼いておいてくれ、と言い残して
夫はマンションの階段からこつ然と消えてしまった。

男は現場に赴き、調査をはじめます。
マンションの24階と26階の間。
踊り場に置かれたソファ。
真向かいの壁には大きな姿見。

踊り場を通り過ぎる
一風変わった住人たちと会話をしながら、
男は「ドア」もしくは「雨傘」のような物を探します。

真っ白い壁だけでできた迷路に入ってしまったような
迷路に入った自分を、遠く上からみているような。

読んでいくうちに、
あちら側の世界に入ってしまう。

現代アートのようなのです。理屈抜きの。

芸術の秋、を感じてください。



東京奇譚集 (新潮文庫)東京奇譚集 (新潮文庫)
(2007/11)
村上 春樹

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秋の公園で本を読むのが好きです。

ベンチに座って好きな文庫本を開いて
時折、青空や色づいた木々を眺め
ステンレスボトルにいれた熱い紅茶を飲む。

天井のない場所という開放感。

はらりと枯葉が風に乗って
文庫の上に落ちてきたりすると素敵です。

紅葉した木々のそばで読むなら
小川洋子の「冷めない紅茶」や
小池昌代の「裁縫師」がいい。

細い絹糸で
繊細に紡がれたような物語が似合います。
それから、境界線が曖昧な物語も。

そろそろ本格的に寒くなってきたので
明日は芥子色のストールを巻いて、
落ち葉をさくさく踏みにいこう。



 

 

 

 

 
空港には大抵ひとりで行きます。

ふらりとひとりで旅に出て
旅先で知り合いに会うことが多いから。

それで、時間があると空港の書店に寄って
文庫本をパラパラめくります。

空港で搭乗を待ちながら読む短編。

村上龍の料理小説集なんて
すごく似合う。
食事という快楽、そして会話。

ニューヨーク・パリ・ウィーン。
リオ・ローマ、コートダジュール。

旅の最中、
あまり本が読めなくなります。

見知らぬ風景を見たり、
その土地の食べ物を味わったりすることで
物語を体感しているからなのかも
しれません。

そう考えると、
本を読むのと旅をするのは似ていますね。



 

 

 

 

 
簡単に言ってしまえば、
ある夫婦がそれぞれ別のひとと恋に落ちてしまう
という物語なのだけれど、

それだけではなくて
バランス、という言葉を思う。

ひとは心の中にある泉のような場所を
きれいな水でいっぱいに満たしていたくて
そうするためにあらゆる行動をとる。

この夫婦は、
自分の中でいつのまにか枯れそうになっている
泉に気づく。
でも相手からは水を得ることはできなくて、
水路を別の場所から引いてきてしまうのです。

哀しいですね。

聡の妻である
テディベア作家の瑠璃子は
翻訳家志望の春夫と恋に落ちます。

この春夫が魅力的なんです。
率直で、傷つくことを回避しないところが。

大人になると、
回避するのがうまくなりすぎて
自分のことまで
煙に巻いてしまうこともあるけれど

そうじゃないよね、恋は。

彼の立ち居振る舞いは、
それを思い出させてくれるのです。



スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)
(2006/08)
江國 香織

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谷中~根津あたりを散策した午後のこと。

谷中銀座の惣菜屋さんで
ナスの肉詰めと塩焼き鳥を買って
夕やけだんだんの隅っこに座ると
目の前に猫が来て、じっと私をみていました。

谷中は猫が多い町です。

曇り空に夕方の光が混ざる頃、
細い小道をうねうねと歩きます。
時折、小さなお寺を覗いたりしながら。

ひっそりとした町家カフェにたどり着き
梅紅茶を飲みながら読書です。

こんな場所には謎が似合うから、
ミステリー仕立てのものが読みたい。

恩田陸の
「新・D坂の殺人事件」とか
「待合室の冒険」とか。

聞かれたことだけぼそぼそと答える、
笑わないマスターの表情がいい。
ごちそうさまでした。



 

 

 

 

 
村上春樹のインタビュー集です。

インタビュアーは国内外さまざまな人々。
いろんな角度から村上春樹の頭の中を
覗いています。

リアリスティック、
シュールレアリスティック。
ノルウェイの森だけ異質な理由が
わかりました。(今頃ですが)
書き方の手法が違ったのですね。

それぞれの小説の解説書としても読めるし、
個人、村上春樹にも会うことができる。
辞書のようにぎっしりしていて
贅沢とすら感じます。

あるインタビュアーは質問します。

「もし、長編と短編をひとつずつ選んで、
ボイジャーに載せて宇宙の果てまで
運んでゆくことになったとしたら、
どの作品を選びますか?」

村上春樹は答えます。

「選べないですね。どう転んでも。
僕自身を連れて行ってもらうしかない。」

まだまだ、
ボイジャーに乗り込まれては困ります。



夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)
(2012/09/04)
村上 春樹

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曼珠沙華の群生地にいきました。
敷地一面、赤の波。

曼珠沙華の赤は容赦ない。
人の心を揺さぶる力を持っています。

ベンチに座って、
天に反り返る独特のフォルムを眺めていました。

ふと、谷崎潤一郎の小説世界のようだ、
と思いました。

妖艶で、孤高で、
少しだけ死の気配がするところが。

「刺青」という小説のことを
思い出していました。



 

 

 

 

 
サブカルっぽいエッセイなのかな。
と気軽に読みはじめたのです。

そうしたら、びっくり。
仏教の教えのようではないですか。

とてもわかりやすく、くだけたタッチで
人生とは、悩みとは、不安とは、その対処法が
書かれています。

悩みとは、
他人への期待と他人との比較から生まれる。

不安なのがふつうであって
安定というものはそもそもこの世に存在しない
ただ油断している期間のことをいう。

私と呼んでいるものは、本当に私なのか?
私の脳がそうと決めているだけなのでは?

読んでいくと
理想や執着や思い込みが、ほどけていく。
心が自由になっていくのを感じます。

ひとやすみのように出てくるエピソードに
「極楽の余り風」というのがあります。

猛暑の最中、
どこからともなく吹いてくる心地よい風
という意味なのだそうです。

昔使われてた言葉らしいけれど、
こんな素敵な言葉が
なぜ使われなくなってしまったのだろう。

その呟きを読んだとき、
ああ、このひと好き。と思ってしまいました。



さよなら私 (角川文庫)さよなら私 (角川文庫)
(2012/09/25)
みうら じゅん

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デビットリンチの映画に出てくるような
古めかしいホテルの窓から
レンガ色の大きな建物が見えました。

なんの建物だろう?
深夜、歯を磨きながら見下ろしていました。

朝、地図を見ていたら、
横浜市立図書館であることがわかりました。

旅先の図書館は楽しい。

9時半の開館と同時に、
いろんな層のひとが階段を登っていきます。
私もそれに続きます。

本棚から鎌倉のガイドブックを二冊取って
いちかばちかで、
市民ではないけれど、半日だけ
貸出してもらえないか職員さんに交渉します。
答えはNGでした。やっぱりね。

仕方ないので、席について
ガイドブックを読んでいたら、
さきほどの職員さんに声をかけられました。

手渡してくれたメモには
鎌倉駅までの行き方と、観光案内所の場所が
書かれていました。
素敵です。

「雨の鎌倉はいいですよ、
しっとりしてて、晴れの日よりずっといい」

彼女はそういってにっこり笑いました。

今、大船のホームで乗り換え待ち。

鎌倉までもうすぐです。



 

 

 

 

 
今日は、この短編集の中で一番好きな物語を。

冬の、ある真夜中。

自宅を飛び出して流れ着いた海辺の町で
彼氏を見つけ、一緒に暮らしはじめる順子。

順子は、バイト先のコンビニで会うようになった
中年の画家、三宅さんと親しくなります。

三宅さんは焚き火をおこすのがうまい。

深夜、海辺に呼び出された順子は、
ゆらゆらと形を変える焚き火の前で
三宅さんと、ぽつぽつ話をします。

ジャック・ロンドンの小説「たき火」。
置いてきてしまった家族のこと。
三宅さんの家に冷蔵庫がない理由。

そして、アイロンのある風景、という絵。

「それが実はアイロンではないからや」
「つまり、それは何かの身代わりなのね?」
 
揺れる炎が持つ生命を思わせる力と
基本的に死を求めているふたりの心。

消えない痛みを胸に抱えながら、
何かを身代わりにしながら、
さまよい続ける。

胸の奥底をざらりと撫でられたような、
そうされることを強く望んでいたことに
気づいてしまったような。

どこまでも深い闇を炎がちらちらと照らす。
静かで、鮮烈な一編です。



神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)
(2002/02)
村上 春樹

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この短編集は
食べることをモチーフにしています。

今、食べているひと。
過去の、食べていた頃の思い出。
料理、男、女、空白。

ウエットで、色っぽくて、少しだけこわい。
なかにはすっかりドキドキしてしまうものも。

そんな物語が
冷たく乾いた視点で綴られていきます。
そのコントラストが、いいんです。

ホヤ、スパゲッティ、スルメ
ステュウ、くずきり、コンソメ
タコ、シリアル、ピザパイ…
ゆで卵。

さて、何から召し上がりますか?



ゆで卵 (角川文庫)ゆで卵 (角川文庫)
(1998/10)
辺見 庸

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秋の涼しい夜風の中を歩いていると
「らせん」という物語を思い出します。

一組の男女の、
夕暮れから夜にかけての時間が描かれています。

男は長くつきあっている彼女に
なぜか閉店後のカフェに呼び出されます。

真っ暗な店内に浮かび上がる白い椅子。
カフェに流れこむ雑貨たち。
グラスの中でそら寒く金に光るビール。

夕月のような彼女は
頭の中をからっぽにする講座に行くと告白します。

あなたのことを全部忘れたい、
と思っていることを忘れたいんだなと
彼にはわかってしまう。

店を出て、夜道をふたりで歩いていると
向こうの角にあるビルの上で、爆破が起こる。

ガラスの破片がゆっくりと闇に降り注いでいく。
花火みたいに。

一周半くらいしてしまった男女は
相手を愛しているのか、一緒にいたいのか
わからなくなってしまうときがあると思います。

ふたりは答えを出す。多分、愛に満ちた。

果てしなく高い空までひろがっていくような、
太古から続く男と女の成り立ちを感じるような
独特な美しさをもつ一編です。



とかげ (新潮文庫)とかげ (新潮文庫)
(1996/05)
吉本 ばなな

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週末、友人との定例会で日本酒バーへ行きました。

まずはビールといぶりがっこのきんぴらで乾杯。

友人からの報告は、
現在進行形である恋愛のこと。
複雑な人間関係を含むもので、辛そうでした。

心臓に麻酔を打ちながら会ってる。

彼女がぽつりと言ったとき、
島本理生の小説のようだ、と思いました。

「ナラタージュ」や、
「大きな熊が来る前に、おやすみ」の
激しい想い、壮絶な痛み。

そういう恋は、
物語としては美しいんだけどね…

私は返しました。

日本酒をゆるゆる飲みながら
リアル島本理生の物語は
夜が更けるまで続いたのでした。





ナラタージュは中編、くらいの長さがあります。 

 

 

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