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これから年越しそばを食べて
テレビをみて…というコースの前に
みなさまにご挨拶を。

ブログをはじめたのは、
パン作りの趣味が高じて、
お店にパンをおろすようになった
お友達の話がきっかけでした。

その話を、ヨガ好きが高じて
ヨガのインストラクターになった
お友達から聞いたのです。

みんな大好きなことに精進し、
まわりに還している。
なんて素敵…と感動したのです。

きっかけはそうでしたが、
いざはじめてみると
ふわふわ気のむくまま自由に書く感じに
なってしまい、
あれ、なんか思ってたのと違う?
まあいいか…
と振り返ってみています。

いつも訪れてくださる方、
ふらりたまに寄ってくださる方、
ひょっこり迷い込まれた方。

少しだけ立ち止まって、
読んでくださったみなさんに
とても感謝しています。

来年もどうぞよろしくお願いします。


 
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年の瀬ですね。
本を読んでもいつのまにかウトウト…
スイッチオフの幸せを味わっています。

昨日の深夜、テレビで
Jukugo Awaseという番組をみました。

漢字一文字が書かれた手持ちの牌と、
テーブル上や他プレーヤーの漢字牌を
組み合わせて熟語を作り、ポイントを
競います。

辞書に載っているかが判定基準です。
四字熟語やレア熟語だとポイントが高い。

これがすごくおもしろかったんです。
麻雀牌のような形の牌も雰囲気があるし、
四人で卓を囲むゆるい感じもいい。

ミッツさんが赤い爪で「色事」と
牌を並べ、艶っぽさにドキッとしたり
光浦さんが「鬼子母神」と牌を四つ
さらりと並べ、キレを感じたり。

私が参加するなら、
もう少しルールをゆるめたい。

その場で牌を自由に並べて熟語をつくり
自分で考えた意味も披露して、
参加者たちが納得すればポイント。

うーん、これでは
ゲームとして成立させるのは難しいかな…



 

 

 

 

 
師走の慌ただしさからようやく抜け出し、
夜の始まりをカフェでのんびり
過ごしています。

書店に入ると、よく本のタイトルや装丁を
眺めながらぶらぶらするのですが
私はそれを巡回と呼んでいます。

巡回中、時々一目惚れする本があります。

「燃焼のための習作」堀江敏幸
「雪と珊瑚と」梨木香歩
「夜を着る」井上荒野
「タタド」小池昌代

タイトルには作家のセンスがぎゅっと
凝縮されていると思うのです。

言葉の組み合わせが、不時着な感じ。
それは受け手にすとんと意味やイメージを
与えてはくれず、
ある深さや遠さを感じさせる。

そういうものに出会うと、完全降伏です。

半月型のホテルに、
徐々にあかりが灯っていきます。
ジンジャーハニーのお茶も冷めてしまった。

今、あまり知らない街にいるので
どんな本屋があるのか巡回しなくては。

今夜も幸福な事故が起こりますように。



 

 

 

 

 
昨日の続きですが、小田和正が
僕はシュールなのって得意じゃなくて…
でもこの曲は好き、と話しているのをみて
しばらくシュールについて考えていました。

リアルな世界から少しだけずれたい。
別の場所に連れて行かれたい。
そんなときにオススメなのは…

川上弘美「運命の恋人」
恩田陸「草取り」
佐野洋子「食べちゃいたい」
小川洋子「冷めない紅茶」
村上春樹「緑色の獣」

川上弘美はたぶん出身が
シュールの国の方だと思うので
それはそれは自在に紡ぎます。

恩田陸は、背筋がすっと冷たくなる
輪郭がくっきりしたシュール。

佐野洋子は愛と毒がマーブルになった
なまぬるい女のシュール。

小川洋子は、自分が半透明に
なっていくような、硬質なシュール。

村上春樹は、村上ワールド的シュール。
(雑なつもりではないんですが
 こうとしかいいようがないのです)

日常は何かの繰り返しだったり
社会的ルールに従っていることが多い。
規律と安定と退屈は同じ箱に入っている。

実はその箱に、
ちいさな猫ドアがついているのを
見つけました。

ちょうど今、すり抜けるところですが
一緒に来られますか?



 
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クリスマスの約束がはじまって
小田和正の、自由な鳥のように
伸びやかな歌声が暗闇に響きます。

誰かが歌う。それだけのことに
多くのひとがあつまる。
舞台を見上げるキラキラとした目を
みていると、
改めてすごいことだな、と思います。

自分が洋楽をあまり聴かない理由が
最近わかりました。
歌詞が好きなんです、日本語の。

字幕で歌詞が出ているのを見るのも
楽しい。

歌詞というのは、文字の媒体のなかで
際限なく感情を溢れさせていいもの
だと思うのですが、
私の好みは、感情を抑えて抑えて
空気にそっと逃がすような、
ビターな歌詞です。

今、キリンジのエイリアンズを
小田和正が歌っていて
聴きながら鳥肌が立ってきました。

月を見上げながら
遠く遠く自分が運ばれていくような感覚。
ぐるっと反転して、今度は自分が碧く光る
小さな地球をみているような。

禁断の実をほおばっては、
月の裏を夢見て…

遅くなりましたが、メリークリスマス。



 
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源氏物語、第12帖。
都から離れ、須磨で暮らす源氏の
侘しく心細い日々が描かれます。

源氏は、実の兄である朱雀帝の側室、
朧月夜との秘めやかな恋が見つかり
官位を剥奪されてしまいます。

近しい人々と別れ、須磨に着いた源氏は
質素ながら風流な住まいを構えます。

月を見上げては涙に暮れ
我が子や妻、女たちを想いなから
いくつも歌を詠み、琴を鳴らします。

懐かしい友との再会、ふいに訪れる嵐。
隠遁の日々は静かに続いてゆくのです。

島田雅彦がよどみなく綴る文章は
透き通った水が
ひたひたとしみてくるようです。

そばに女をひとりも置かず
ひたすら悲しみに耐える源氏からは
ただならぬ色香が漂ってきて、
自業自得でしょう、という私の声は
そっと胸にしまわれる。

もし私が
夕暮れ時に海の見える廊下で佇む
源氏の姿を垣間見てしまったら、
この世のものとは思えない美しさに
あっさり捕らえられてしまうでしょう。

ええ、はじめから、
勝ち目などないのですけど。



ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ
(2008/10/31)
江國 香織、松浦 理英子 他

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佐渡に向かうのは、
物書きの道子、引きこもりの弟、
古道具屋を営む父。
新幹線とジェットフォイルを乗り継いで。

祖父母の家の隣りに住む、
親戚のおばちゃんの納骨のためです。

腰まである弟の長い髪や
笑うとき目元をおさえる父の仕草を
少し離れた視点でおもしろがる私。

別々に暮らす三人の、初めての旅行。
微妙な距離感。遠慮と無遠慮の間。

お墓で、道子と弟が納骨する様子を
父が中継のように写真におさめる。
その時間はコミカルですらあります。

そして、うらぶれた湖畔のホテルで
三人とも、眠れない夜を過ごします。
だからといって誰かを起こしたり
することもなく。

淡々したタッチで描かれる道中ですが
三人の心にしんと降りていくのは
悼むという気持ち。

道子が納骨の旅へ行くことを決めた
心情が印象的です。

 愛している、愛していないというのは
 最近の感情で、「最近」ではない何かが
 私たちにピタリと触れてきた

全編を読んでいると確かに感じるのです。

それは、透明で静かで、
心が感知しないくらい奥底で
脈々と流れている。
ふんだんに。途切れることなく。

絆というものを想いました。近く遠く。



佐渡の三人佐渡の三人
(2012/09/26)
長嶋 有

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いわずと知れた、源氏物語の末摘花です。

光の君は、世の中を無情と感じ、
真実の愛と美を分かちあえる女性に
出会うことを夢見ています。
千年の孤独を胸に抱えながら。

ある春の夜のこと。
故常陸親王の姫君、末摘花の
不遇な噂を聞いた光の君は、
心惹かれるのを感じ、邸に出向きます。

荒廃した邸から聴こえてくる、琴の音。
夜空には朧月。

かちり、と心の中で
何かがかみ合う音がします。
コノヒトカモシレナイ。

それから光の君は、
まだ見ぬ姫君に激しく恋をします。

幾度となく文を送るも、姫君はつれない。
ますます執心する光の君。(粘着質?)
季節は巡り、ついに想いを遂げますが
雪の朝に初めて見た、姫君のお姿は…

光の君の心情や、身近な者との会話が
テンポよく、くだけた調子で綴られます。
くるくる色が変わっていくような
カオス的疾走感。

笛でセッションしましょうよ、
舞楽のゲネプロがはじまって、
なんてフレーズが出てくるのも楽しい。

光の君って、もしかすると
はた迷惑な妄想男子なのかもしれない。

町田康が織りなす世界の独特なリズム。
ロックだなあ。



ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ
(2008/10/31)
江國 香織、松浦 理英子 他

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先週観た映画「その夜の侍」の
強烈な影響がいまだ冷めず、
感情の持つエネルギーのことを
しばらく考えていました。

強く執着している場合において、
好きと憎いはほぼ同じものだなあと。
何かのきっかけで
そっくり反転することがある。

うすいガラス一枚越しに
ぴたりと背中をつけあっている感じ。

エネルギーの形も
丸い球のようではなく
まっすぐ放たれた矢のようです。

そんな、感情の反転を伴う物語を
いくつかご紹介します。

角田光代「空中庭園」
三浦しをん「私が語りはじめた彼は」
井上荒野「ベッドの下のNADA」

効きは強めです。
けれど、ある種の毒がもつ美しさに
恍然となる瞬間があります。

万が一、
心が凍えてしまったときのために
ほわっと温かくなるお薬も
一緒にご紹介しておきますね。

吉田篤弘「それからはスープのことばかり
考えて暮らした」

あっ、
処方箋を出すのは生まれて初めてです。



 
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日々、仕事で大量のメールを読むせいか
我流の速読のようなものが身につきました。

文面全体をぱっと見て画像として記憶し、
要点を拾い、最後にその周辺を読む。

私はそれをデジタル読みと呼んでいます。
バトンさえ取り落とさなければオッケー。

朝からそうしていると、だんだん
眼球が平べったくなっていく気がします。
夕方になる頃には、完全にフラットです。

趣味の読書をしているときも
先が気になる展開になってくると
ついデジタル読みしてしまうことも。

大筋はわかる。
でもそれは事実を追っているだけで
情緒がゼロなんです。

行間を読まない読書は、つまらない。

窓に小さく雨が打ちつける音を
聴いていたい。
線香花火のちりちりと揺れる火玉が
ぽとりと落ちる瞬間を見ていたい。

これから読もうとしている本は
純度100パーセントのアナログ読みが
必要なのですが
頭の中はまだデジタル作動中。

どなたか背中にある、その赤いスイッチ、
押してください。



 
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さっきまで南の空に見えた三日月が
もういなくなってしまいました。

細い金のまわりを、
空の群青がぬりつぶしていたあの時分。
三日月は、宵の口にしか見られないから
贅沢な存在です。

三日月は、
陰暦三日の夜の月のことをいうのだとか。
月齢カレンダーを眺めるのは楽しい。

月は、見上げるひとの心を映しますね。

夜空にひっかかってしまった
ペンダントヘッドみたいに
あたたかな金色に輝いていたり、
青白く鋭利な刃物のように
しんと冷たく光っていたり。

そういえば月という漢字は、
よくみるとアシンメトリーです。

不完全なもののほうが
安心することもある、と感じます。
完全なものは、時に眩しすぎる。

こんな夜のはじまりには
吉本ばななの「サンクチュアリ」が
読みたくなります。

夜の海辺で大泣きしている女が
時折、清らかな聖母のように見える
という印象的なシーンがあるのです。

あの物語には
どこに三日月が出てきたのだったか。



 
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今日、書店で手に取った一冊は
はっとするほど美しい装丁だったのです。

この詩集は、
谷川さんの36編の短い詩に、
佐野洋子さんがエッチングをつけた
贅沢なもの。

ふたりが一緒にいたころの
谷川さんからの恋文なのでしょう。

一部引用してご紹介します。

「未生

 あなたがまだこの世にいなかったころ
 私もまだこの世にいなかったけれど
 私たちはいっしょに嗅いだ
 曇り空を稲妻が走ったときの空気の匂いを
 そして知ったのだ
 いつか突然私たちの出会う日がくると
 この世の何の変哲もない街角で」

36編から伝わってくる想い。

生まれる前からあなたと出会うことは
きまっていて、
身体のどこかはそれをずっと知っていた。
あなたにようやく会えた、
それが私が生きている意味だった。

あなたに会えて嬉しい、
何気ない日々を共に過ごせることが
嬉しい。

あなたという宇宙を、
この両腕でまるく包む。そのまま。

最後まで読み切らないうちに
感電したようになってしまいました。

こんなふうに想われたら
永遠、というものを感じられる。
時間の扉がぎい、と閉じていく音が
聴こえるはず。きっと。



女に女に
(2012/12/05)
谷川 俊太郎

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扇にのせて差し出された、白い夕顔の花。

江國香織が現代語で書いた
源氏物語の「夕顔」です。

有名な物語なので、
あらすじは省かせていただいて。

光の君は清らかで美しく、罪がない。
(ほとんど誘拐に近いことをしても)
夕顔はつるりと無垢で、ミステリアス。
六条御息所は気高く優雅で
悲しいくらい懸想に身をやつす。

端正な文章からは
情景がふっと浮かび上がってきます。
焚きしめた香のように。

夕顔の花がのせられた扇からは
よい香りがして、
文がしたためられていた。

素敵です。
淡く連ねた言葉で、
その向こう側にある気持ちを匂わせる。

夕顔は、源氏物語のなかで
特に印象深いもののひとつです。

よく有名な曲を様々なアーティストが
カバーするというのがありますが、
物語でそのような出会いがあると嬉しい。

5人くらいの作家が書いた夕顔が
一冊に綴じられている本があったら
すごく贅沢、と思うのです。



犬とハモニカ犬とハモニカ
(2012/09/28)
江國 香織

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空港で、女は待っている。

四ヶ月前に知り合った男は、
夜の仕事をする女の客だった。

離婚をし、小さな子供を引き取り
深い閉塞感の中にいる女に、
男は優しい。優しすぎるくらいに。

女は男に、遠慮がちに自分の夢を話す。

地雷で足を失ったアフガニスタンの人に
国連が義足を送るのだけど
その地方には道がなく治安も悪いので
空からパラシュートをつけて
義足を投下する。
それを映画で観て、アフガニスタンの
人に義足を作りたいと思ったのよ。

男は、義足の技術を学べる学校を調べ
熊本にあるよ、一緒に下見に行こう
と女を誘う。

女は待合いの椅子に座り男を待つ。

ひとすじの希望が、人の心を強く動かす。
男の優しさは本物かもしれない。
誰かの役に立てるかもしれない。

その力はどんな過酷な状況でも
湧き出てくる。
ひとの心が持つ根底の力だと感じます。

厚いグレーの雲間から
金色の光が差し込んでくるような読後感。

著者が、自分が書いた中で一番好き
といっているのが、よくわかります。



空港にて (文春文庫)空港にて (文春文庫)
(2005/05)
村上 龍

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古めかしい、かつて女子寮だった建物。
地下室でひっそり作られる標本。

主人公、私は
過去から逃れるように街へ出て
標本技師の元で事務員として働きはじめます。

人々は、思い出が強すぎて
自分から切り離したいけれど、
どうしても処分できないものを
標本にするためにやってきます。

家族を亡くした火事の焼け跡に
生えてきた茸。
別れた恋人から贈られた曲。
飼っていた文鳥の骨。

毎日この靴をはいてほしい。
標本技師から美しい靴を贈られてから
ふたりの逢瀬は始まります。
タイル張りの、水の止まった浴室で。

その靴は私の足にぴったりと沿い
次第に境目を浸食していきます。

標本技師の冷たい眼差しと隙間のない抱擁。
私の心もまた、境目を失っていくのです。

囚われたままでいたい。
そう思うことは危険なこと。
けれどそれを上回るほど甘美なこと。

ふわりと埃が舞い上がり
棚に並んだ標本にやわらかな光があたる。

この美しすぎる物語には毒があります。
ご注意を。



薬指の標本 (新潮文庫)薬指の標本 (新潮文庫)
(1997/12)
小川 洋子

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ねじ、というバーに行けば
ちょっと渋めのマスター、勲さんや
ひとクセある派手な大人たちに会える。

狭いカウンター席。
くっきりと主張する音楽。
夜という生き物。架空の場所。

私はねじで働いている。
10年一緒に暮らしている智也は
働かなくなってずいぶん経つ。

ある夜、ねじに来たお客さんは
お店に不似合いな、ひっそりと地味な男で
私は変にざわざわする。全く不用意に。

私は智也が働かないことを責めきれない。
智也が悲しそうだと私も悲しくなるから。

私はその男と一緒に過ごす夜を夢想する。

明け方、店からの帰り道。
公園から、トランペットの旋律が
聴こえてくる。
暴力的なまでに巧みな、りんご追分。

私の心が決壊する。

もし自分の人生が
おかしな方向に向かっているとしたら
誰のせいでもなく自分がしたことだ。
わかってる。けれど、ここから動けない。

そういう時に聴く、りんご追分は
きっと沁みるだろうな。



泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)
(2005/02/18)
江國 香織

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先日のブログに
短編小説が潜水なら長編小説は航海、
というコメントをいただき
面白いな、と思いました。

いろんな小説を思い浮かべてみると
うっすらベクトルの向きを感じます。
垂直なのか、水平なのか。

それは実際の長さに比例せず、
物語の持つ質感もあるな、と
気づきました。
あくまで個人的に感じるものです。

たとえば垂直型。

UFOが釧路に降りる
納屋を焼く
真鶴
薬指の標本

それから水平型。

きらきらひかる
夕子ちゃんの近道
からくりからくさ
さきちゃんたちの夜

前者はゆっくり毒がまわるような
蠱惑的な魅力があり、
後者は脈々とつづく日々の、
小さくキラキラしたものを味わえる。

もちろん水平と垂直が混在している
ものもありますよね。

コーヒーは垂直、ほうじ茶は水平。
スコールは垂直、粉雪は水平。
一目惚れは潜水、結婚は航海…

ああ、白牡丹のお茶が冷めていく。



 

 

 

 

 
さまざまな娯楽があふれる中で
ひとは日々、何にどのくらい
時間を割いているのでしょうか。

媒体別、心に作用するまでに
要する時間を書き出してみます。
あくまで、私個人が感じるものです。

写真 3秒
絵 1分
音楽 5分
短編小説 30分
映画 120分
中編小説 3時間
長編小説 5日

私にとって、写真から音楽までは、
瞬間移動に近いイメージ。
わずかな時間で
心に栄養が注入される感じ。

映画から長編小説までは、
そのための時間をつくって、
向きあうという贅沢なもの。

短編小説は、その中間に存在します。

お茶を一杯飲むくらいの時間で
垂直に深く物語の海に潜水できる。
読み終わって顔をあげても、
意外と時間は経っていなくて
けれど自分は確かに別の世界にいた、と
いうような。

短編小説って、ちょうどいいんですよね。

それでは、これから海に潜ります。



 
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僕は妹の婚約者がそもそもの最初から
好きになれなかった。
自分が偏狭だからだろうか?

主人公の僕は、4つ下の妹と
気楽な同居生活を送ってきたけれど、
妹に恋人ができてから
風向きが変わってきたと感じます。

週末に色んな女の子とデートする
ふらふらした僕に、
妹は以前より批判的。
あなたは大人としてまともじゃない。

けれど、彼女を「まとも」な方向に
導いているのは
頭が空っぽそうな、冗談の通じない、
変な柄のセーターを着た男なのです。

婚約者へ昇格した男への文句や、
妹との口喧嘩はなかなか辛辣です。
けれど、からりとコミカルで
くすくす笑ってしまいます。

カラフルで連続性のある
ポップアートをみているみたい。

なんだかんだいっても、
僕は妹をほっておけなくて
婚約者の家に挨拶に行く妹に同行したり、
自宅に婚約者を招いた食事にもつきあう。

「良い面だけを見て、良いことだけを
考えれば何も怖くないよ」

結婚前の妹と婚約者に、僕は言うのです。

そうそう、秋の結婚式には
リスも熊も出席しますよ。きっと。



パン屋再襲撃 (文春文庫)パン屋再襲撃 (文春文庫)
(1989/04/10)
村上 春樹

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眠れないときはどうしていますか?

この物語に出てくる男のやりかたは
関連性のない言葉を連想し続けると
いうもの。

指、観覧車、銀杏、満月、手帳…

脳がほどよく疲れて眠れるのだそうです。

主人公である私は、アフリカ旅行を控え、
黄熱病予防の注射を受けに行きます。
その会場で、同じように注射を受けにきた
男に出会います。

美しい猛獣のような男。

注射の後は、
飲酒と運動はくれぐれもお控えください。

係員の注意を裏切るように、
男は私を誘います。
ビールと、お寿司と、夜の向こう側。

その晩、嵐のような恋に落ちた私は
思うのです。
今まで生きてきて起こらなかったことも、
一ヶ月後に起こることがあるのだと。

ヨハネスブルグ空港でスーツケースの鍵を
こじ開けられないように注意しなよ。
男はいいます。

鍵をこじ開けられるようにして
心を盗まれる。
あっという間に。全く予想外に。

来月、何が起こるかわかりませんよ。
あなたの元にも。



最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)
(2008/11/27)
阿川 佐和子、沢村 凜 他

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