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ようやくスタバに落ちついて、
いそいそと福岡信一の本を鞄から出し、
読みはじめたのですが、文字が目の前を
つるつる滑って意味がつかめない。
スケートリンクの上で単語たちが踊る。

ウイルスはエッシャーの描く造形のように
優れた幾何学的な美しさを持っている…
というところまで読んで、
その正二十面体のような多角立方体を
思い描いてうっとりしていたら、
隣の女の子がノートに修正テープを引く、
しゅーという規則的な音に聴き入っている
ことに気づきました。

夜は窓のないスタバがいい。
勉強をしているひとたちがテキストや
色とりどりの蛍光ペンをテーブルいっぱい
広げているのをみるのは楽しい。

以前、隣に居合わせたひとが、
がりがり語学の勉強をしていたのですが、
時折呟く単語が聞いたことのない音で。
思わず、何語ですか?と尋ねたところ
バスク語です、と返ってきました。

バスク語!

…あらら、さっきから話がふらふらと
好き勝手な方向に。

ダブルスクイーズは疲れた脳を
甘くほどく作用があるのかもしれません。

明日こそごくごく読みたい。



 
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艶。
多くの男たちと関わってきた色狂いの女。
ひらひらと曇り空を舞う揚羽蝶のような。

物語は艶と関わった男たちの妻や娘、
恋人が語り手となり綴られていきます。

O島に住む艶が危篤であるという知らせが
水辺にぽちゃんと落ちた石の周りに
さざ波が広がるように、周りの人々の心を
不安定に波打たせていきます。

そして、ゆらりと不穏な印象を与えるのが
艶の夫の松生です。

彼は艶と出会った瞬間から、
ただ忙しかったのだというのです。

当時の妻に別れを切り出すことや
艶と結婚し一緒に住む場所を探すことや
二人の生活のために仕事を始めることや
艶の終わることのない男漁りを監視する
ことや艶の危篤を彼女と関係した男達に
知らせることや艶が病院のベッドで何本
ものチューブに繋がれて死にゆくのを
見つめることに。

松生の艶に対する気が触れたような執着。

この男は全部を艶に差し出すことを
望んでいる。身体ごと。
艶がこの世からいなくなったら自分も
消えてしまうのではないかと思うほどに。

松生の、愛にしては行き過ぎた感情に
変に心がざわざわしてそれが止まらなくて
ひとが持つ元々の性質と組み合わせと
それから何かの符合が一致した瞬間に、
終わることのない執着は生まれるのかも
しれない。それはある種の幸福なのかも
しれない、絶望をはらんだ稀有な…
などと思い巡らせてしまいました。

艶とはどんな女だったのか。



つやのよる (新潮文庫)つやのよる (新潮文庫)
(2012/11/28)
井上 荒野

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静かに水をたたえた四角いプール。

私の弟は水泳の強化選手だった。
母は弟を愛することに命をかけ
弟が一流選手になるためなら何でもした。
父は広い自宅で時折骨董品の販売をし、
後は酒ばかり飲んでいた。

弟は一日も休まずにプールで泳いだ。
それ以外の時間は家のあらゆる隅にいた。
飾り戸棚の陰や、食器乾燥機と冷蔵庫の
すき間。彼の唯一の息抜き。

母の夢は年々ヒステリックに尖っていき
ついには自宅に小さなプールを建設した。
弟は黙ってターンの練習を続けた。
私は弟の美しい泳ぎを遠くからみていた。

そして15歳でアメリカ遠征が決まった
弟の左腕に、奇妙な異変が起きる…

本人には持ち重りするほどの才能。
小さな頃から期待を背負って生きると
いうこと。
長い時間をかけて追いつめられていく心。
それらがじわりじわりと描かれます。

母の期待は愛情に裏打ちされているから
彼は辛いと言えなかった。
代わりに、隙間に潜ることのように
ゆがんだ形で消化するしかなかった。
そう思うと胸が痛みます。

特別な才能は生き物のようなもので
それを乗りこなす力を併せ持つことが
必要なのかもしれません。

枠の中でひっそりと誰かを待つ凪いだ水。
鼻腔を支配する塩素の匂い。
世界がプールと自分だけになり、
静かに閉じていく。

彼は今でも、そんな場所にいるような
気がするのです。



まぶた (新潮文庫)まぶた (新潮文庫)
(2004/10/28)
小川 洋子

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今日は、楽しみにしていたカナダ映画
「人生、ブラボー!」を観てきたのですが
上映中ずっと、ハンカチを目の下に当てた
まま観ていました。もう泣けて泣けて。
幸福の涙です。

さて、このブログは読書案内なので
そんな泣ける短編を思い浮かべてみると…

デューク 江國香織
おやじの味 よしもとばなな
旅路を死神 伊坂幸太郎

読み進めていて、ふいに泣かされる。
突然世界が色つきにみえる。
そういう感じが好きなんです。

短編ではありませんが、三浦しをんの
「風が強く吹いている」は
フェイスタオルを隣りに準備して
ちょっと読んでは本を伏せて
タオルで顔を覆って泣き
というのを繰り返した記憶があります。

何となく心の中にスモッグがかかっている
なあ、と思う時は泣くのがいい。

好きなだけ泣いて、何なら声もあげて、
そうするとスッキリするんですよね。
雨上がりの夜空みたいに。



 
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北の外れの岬、一羽の大鷲が大空を舞う。

大鷲は、岬の枯れ松の頂に巣を持ち
何十年もたった独りで生きてきました。
孤独と自由を誇りに。

冬の始まり、大鷲は北へ向かう白鳥の
群れの中から一羽をしとめます。

真っ白な長い首、陽に透ける柔毛。

巣に帰った大鷲は、自分の爪がつけた
白鳥の傷跡を汐気のある海藻でふさぎ、
巣に柔らかい草を敷きつめます。

美しくて弱いものに優しくするというのは
なんと甘美で、喜ばしいことなのだろう。

それから大鷲は、白鳥を守り慈しむために
獲物を捕り、空を舞うようになります。
やがて白鳥は大鷲の想いを受け止めます。

二羽は結婚し、長く厳しい冬を迎えます。
巣の中の、白鳥の柔らかく確かな温もり。
大鷲はこれまで味わったことのない幸福が
胸を満たすのを感じるのです。

そして、春がやってくる…

孤独がほどけていく瞬間にじわりと
温かくなる心の隙間。
自分の淋しさの輪郭を知るということ。
誰かの温もりを感じながら眠るときの
骨がとろけるような甘さ。

それらが一斉に、艶かしくつやつや光る
粒子となって身体にしみてくるようです。

白鳥は長い首を青空に差しのべる。
何かにつき動かされるように。

この物語には、恋の全部があります。





斎藤隆介全集〈第12巻〉春の声・寒い母 (1982年)斎藤隆介全集〈第12巻〉春の声・寒い母 (1982年)
(1982/07)
斎藤 隆介

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午前中、読書会に参加してきました。

持ち時間10分で自分の好きな本を紹介し、
質疑応答までを行います。

今日は参加者10名。
ラインナップは、時代小説、児童文学、
ノンフィクション、ビジネス書、詩集と
さまざまでした。

参加者の方それぞれが本当に色んな本
を読んでいるなぁ、と実感。

普段は広い広い読書の海でそれぞれが
泳いでいて、出会うことはないけれど
たまたま小さい島に集まって話している
ような感じでした。

私が選んだのは、以前ここで紹介した
川上未映子対話集「六つの星星」。
生物学理論の、分子と蚊柱の話を身振り
手振りでプレゼンしました。

気軽に本だけ一冊ぽーんと鞄にいれて
参加したので、順番が来るまで
あれ…私しゃべれる?思っていましたが
一度紹介記事を書いた本だったので
わりとすらすら説明できました。(ほっ)

ある参加者さんのオススメ本で、
久しぶりにアンテナ5本ぴーんと立った
ものがありました。ぞくぞく。
さっそく図書館システムで予約です。

なかなか手が出ない児童文学や時代小説も
面白さや魅力をライブで伝えてもらうと
心が動くものですね。

また読みたい本が増えてしまいました。
行列の向こうがみえないほどの長さ。



 

 

 

 

 
非常によく物を失くすけれど、なぜか
必ず見つかる、という同僚がいます。

職場での昼下がり。
周りがざわざわしてるな、と思っていたら
件の彼がスマートフォンを失くしたらしい
と聴こえてきました。

もう何度目かなあ…と受け流しながら
私は広大な荒れ野を整地するような作業に
戻りました。

夜も更け、ようやく雑草を取り終えて、
土も平らにならし、種を巻き、水をやり、
今日はこの辺で終了かな…というところで
出先から彼が戻ってきました。

あったよ!最寄り駅の窓口に届いてた。

やっぱり日頃の行いがいいと出てくるねぇ
そういいながら探してくれたひとたちに
報告メールをしている姿をみながら
このひとには失せ物の神がついている…
と思いました。

みえない箱の中で失せ物たちがぐるりと
巡る。

私は物を失くすと自分にがっかりするので
日々注意して暮らしていますが、その行為
にどれだけエネルギーをかけてきたのか。

彼のようなひとはその分のエネルギーを
別のところに使っているのかもしれない。
例えば多くの人々を救う有益な開発とか。

彼も含め、働いていてよく見かけるのが
仕事上は非常に優秀なのに、日常生活に
おいてどこか欠落しているひと。

その才能や機知で社会に貢献するけれど
日々のことでは周りの支援を必要とする。

社会を大きなひとつの箱だととらえると
そこに何かを与え、そこから何かをもらう
ということなのでしょうか。

バランスがとれているなあ。



 
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今日はバレンタインですね。
職場でチョコレートをあげたり
いただいたり。賑やかで贅沢な一日です。

最近のバレンタインは
日頃の感謝をこめて、という趣が
強くなってきましたよね。
素敵な変化のような、残念なような。

ずっと前の、バレンタインの苦い思い出。

当時、遠距離恋愛だった彼へ送るために
自宅でブラウニーを焼いていたら、
彼から電話がありました。

声がひどく湿っていて。

彼は泣きながら、
他に好きなひとができたんだ
といいました。

電話を切ったあと、
焼きあがったブラウニーを捨て、
プレゼントを捨て、彼の写真を捨てた。

けれど、部屋中にチョコレートの
甘い香りだけが残った。
私は泣けなかった。

それからブラウニーという単語が
全然ダメだったのですが
昨日友達から、今ブラウニーを焼いてるよ
という話をきき、わあ、食べたい!と。

傷は癒えるものですね。

ここに来てくださった皆さんは
きっと幸せなバレンタインを
お過ごしかと思います。

涼虫からも、日頃の感謝をこめて…
素敵な夜をお過ごしくださいね。



 
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おしゃれって手抜きしていいの?
希望を抱くタイトルです。

そして、わりとかっちりした
実用書であるのがいい。

読んでいてわかるのは、
おしゃれにはルールがあるということ。

自分の似合うものを知って、
体型にあうシルエットをえらんで
さりげなく細部に気を配る。

ルールを遵守して場数を踏む、だなあ。
と思いつつ、アイテム別のカテゴリへ。

男女ともに、シャツを一枚買うなら
色はサックスブルーがおすすめ。
日本人の黄味がかかった肌に映えて
顔うつりがいい色なんですって。

そしてシャツの着方は、襟はたてず
袖口のボタンは留めない、とありました。
確かに、袖口から覗く手首に
男女問わずどきっとするかも。

小物使い編では
色白さんはパールかホワイトシルバー、
小麦色さんにはゴールドがおすすめ
とあります。
グラデーションを意識するのがいいのね。

クローゼットをきれいに。可視化する。
これも重要みたいですね。

以前、ノマドワーカーの安藤美冬が
情熱大陸で自宅のクローゼットを
公開していたのですが
その少なさ、身軽さに感動しました。
服は、たくさんはいらないですよね。

こういう本を読んだ次の日は
過剰にシックに、アクセサリーも
いっぱいつけたくなるのは何故かしら。
(それはおしゃれとは違うような気が…)



理論派スタイリストが伝授 おしゃれの手抜き理論派スタイリストが伝授 おしゃれの手抜き
(2009/11/25)
大草 直子

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もし役割が先にあって名前が後だったら。

天に住む者、地下に住む者、そして地上に
住む者。
この物語の世界では、それぞれの場所で
暮らし始めるたびに、そこでの名前が
与えられます。

たとえば睡蓮の香りで部屋を満たして
訪れるひとを待つ、十五番目の水。
たとえば市長のいつわりの息子、ソルの
いつわりの母、レミ。

主人公の女は記憶がおぼろげです。
役割を担うために、何か強い力にそれを
奪われてしまうから。
彼女の人生は本人の意志を置き去りにして
流転を続けます。

そして、甘い水だけを飲んで生き延びて
いる人々。その成分の秘密。

真っ白な壁の、誰もいない部屋に
いるような感覚に陥ります。
白いテーブルの上の水差しには、
透き通った赤い水で満たされている。
いつでもその水を飲んでいい。
けれど飲んだ瞬間に私は私の名前を
失くしてしまう。

これまで当たり前に存在していた名前を
失くして、誰も自分を呼ばなくなったら
自分が自分だとどうやって認識すれば
よいのでしょう。

無記名の世界は、色のない世界に
似ているように思うのです。



甘い水 (真夜中BOOKS)甘い水 (真夜中BOOKS)
(2010/03/08)
東 直子

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精神分析学、生物学、文学、哲学…
川上未映子と、第一線で活躍している
六名のゲストとの対話集です。

それぞれの相手と、ぐーっと深いところ
まで潜る。海は違えど、その水深は同じ
という印象です。

歌人の穂村弘と、作家の多和田葉子とは
期待通りのエッジの効いたトーク。

特に興味深かったのは生物学者、福岡伸一
との対話「生物と文学のあいだ」です。

生命とは、DNAを使って自己複製をする
システムであるということ。そして、
生きている=動的な平衡状態を保っている
という定義。

生命体は、たまたまそこに密度が高まって
いる分子のゆるい「淀み」でしかなく
しかもそれは高速で入れ替わっており、
その流れ自体が、生きているということ…

動的平衡という言葉から、川上未映子は
方丈記の「ゆく川の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず」
を思い浮かべたといいます。

個人的には、精神分析学や哲学の対話に
針が振れるのかなと想像していましたが、
意外にも生物学理論に心臓が早鐘を
打ってしまいました。
(そういえば理系男子に弱いのだった)

対話集というのは、ひとりの作家をキーに
様々なジャンルの有識者が持つ思想を
ダイジェストで、ライブ感とともに
受け取れるところがいい。

あなたが惹かれるのは、どの星でしょう。



六つの星星 川上未映子対話集 (文春文庫)六つの星星 川上未映子対話集 (文春文庫)
(2012/09/04)
川上 未映子

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スイートなタイトルなので、
軽い気持ちで手にとったのですが
そのシリアスさと深遠さに驚かされます。

この随筆集は、著者の英国その他海外での
滞在記および交友録です。

関わる外国の人々とのエピソード、
アジア人として別の国に立つということ、
わかりあえるひと、それがかなわぬひと、
ぐっと胸をつくような思い出。
それらが渾然一体となり濃密につまって
います。

中でも特筆すべきは、
著者が学生時代に下宿していた家の女主人
である、ウェスト夫人の生き方です。
様々な国のひとを分け隔てなく下宿させ
まるでファミリーのように接する彼女の
崇高な博愛精神。

それぞれの国の文化や宗教を、その背景に
よって形成されたあらゆる人格を
ありのままに受け入れて共に暮らすと
いうこと。

好きにはなれない、理解はできない。
けれど受容する。

読みながら、自分の中の大きくて重い石の
ようなものが、ごろりと動き出すのを
感じました。

幾つもの国を旅して、その土地に
リアルに触れたような気持ちになれる。

ひとつひとつの章が大粒の真珠のよう。
大事に読みたくなる素晴らしい一冊です。



春になったら苺を摘みに (新潮文庫)春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
(2006/02/28)
梨木 香歩

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町田康の猫エッセイです。

自宅で4匹の猫を飼い、
仕事場では6匹を施設から預かり、
総勢10匹と暮らす著者は
突然思い立った引っ越しにより
六本木から伊豆まで大移動します。

自宅の2匹は、伊豆の物件を探している
途中で拾ってしまった、子猫2匹です。

雨に打たれた瀕死の子猫を救出したり
猫の部屋を作るためにあれこれ奔走したり
脱走して野生化してしまった一匹を
なんとか手懐けようとしたり。

猫とともに生きる、苦楽に充ちた日々が
独特のパンクでコミカルな語り口で
綴られていきます。

たまに、猫が話している言葉を翻訳して
いるのが面白い。
「このおっさんは、飯のおっさんだ」
「君は間違っている」
「腹に乗せて背中を撫でさせてあげても
いいよ」

それぞれの猫の写真が差し挟まれている
ので
これを言っているのはこの猫か…
まるで王者のようだ…
と、頁を行きつ戻りつ想像することが
できます。

猫は気高い。
何かを得るために何かを我慢するという
発想がない。
依存がないから、遠慮もない。

ああ、なんて優雅で自由なのでしょう。



猫とあほんだら猫とあほんだら
(2011/05/13)
町田 康

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たまに、メールの添削を請け負うことが
あります。

悩める片恋男子からの依頼で
彼と意中の女の子のメールのやりとりに
こっそり介入するのです。

これぞまさしく二人羽織。

片恋男子は胸の中が赤いバラの花で
埋めつくされたような状態ですから、
直情的な言葉で切り込む気満々です。

それでは相手が引いてしまいそう。

私のミッションは、メールの趣旨を
変えずに、表現を微調整することです。

相手を言葉で包囲しないほうがいい
核心はつかないほうがいい
あくまでも言葉は、二次的なツールなの
だから。
(虹的な…誤変換にしばしうっとり)

言葉をやわらかな羽のように。
イメージが立ち上がり、余韻がふわりと
残るように。

お相手から色よい返事が返ってきた、
と喜んで報告する男子の姿をみると
役に立てたのね、よかった、と私も満足。

誰かの心に七色の虹をかける、
ささやかなお手伝い。

みなさん、おしあわせに。



 

 

 

 

 
月曜日。
駅前広場にたどりつき、
ソースの香りが吹きだまる。

様々な街の、平日の描写が
コレクションのように並んでいます。

小説でもなくエッセイでもない
不思議な文章たち。
ある駅や行き交うひとに焦点を当てて、
双眼鏡でじっと観測しているようです。

語り手は人だったり猫だったり。
街の情景、風の匂い、徒然に思うこと。
流れていく時間を一緒に感じられます。

平日は、仕事をしているひとが多いせいか
皆、似たり寄ったりの生活なのかしら
とイメージしていましたが
双眼鏡を覗くと、実は全然似ていない。
千差万別なことがわかります。

誰かの水曜日。
あのひとのお弁当の中身。
彼の午後からのルーティン。
彼女が眺めている車窓からの風景。

私はいつも、ハレの日の話じゃなくて、
誰かの、何の変哲もない日常の話が
聴きたいと思っているのですが、
それは当たり前の日々を暮らす
相手の輪郭が感じられるから。

ここにはそれがあったんです。



平日 (文春文庫)平日 (文春文庫)
(2012/03/09)
石田 千

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先日、ストロベリーナイトという映画を
みたのですが、
ある二人が出会ってからの一部始終を
追いながら感じたこと。
同じ濃度の闇は強く引き合う。

それは多分音楽や映画や本なども一緒で、
特別に深く響くものは、
そのときの自分の濃度と一致するから
なのだろうな、と想像します。

光の濃さと、闇の濃さと。

この濃度。
温度計みたいに計測できたらいいのに。

例えば今日の自分の濃度を図って、
60パーセントだったら。
テレビ番組表やDVD、YouTubeの動画や
書籍にも、濃度基準がタグ付けされていて
そこからちょうどいいものを選びます。

同じ比重の濃度なら、何の異物感もなく
甘露みたいに体をそして心を潤すと思う。

ちなみに、私の標準濃度に近いと感じる
作家は川上弘美で、
梨木香歩は5パーセント濃く、絲山秋子は
10パーセント以上を計測。

左下がうちの濃度計。
手に載せるとターコイズブルーの
グラデーションに色づきます。

…これからそうなるよう、しつけます。



 
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自分の夢を録画して、
あとで映画みたいに観れたらいいのに。

この物語は、
夢の映像化技術が確立された世界です。

夢の録画のことを夢札を引く、と呼び
専門家である夢判断たちが映像を分析
することによって、犯罪防止や心療療法に
役立てられています。

最近、各地の小学生たちが集団で奇妙な
行動をとる…
秘密裏に夢札を使った調査が始まります。

夢判断を仕事とする主人公の浩章は、
13年前に他界したはずの兄の婚約者で、
鮮明な予知夢を見る女、由衣子の影を
感じながら、得体の知れない大きな渦に
巻き込まれていくのです。

どこまでが夢で、どこからが現実なのか。

はっと驚かされたと思えば、ひっそりと
美しかったり、物悲しさに包まれたり。
いつのまにか自分まで、由衣子の気配を
探す旅に加わっていることに気づきます。

物語を追っても追ってもなかなか
全体像が見えてこなくて
駆け出して先をみたくなるような衝動に
何度もかられました。

物語の中で、吉野の桜をみている夢が
何度も出てくるのです。
山に一斉に咲き乱れる薄桃色の桜。
くっきりした青空に映えて。

今夜、
吉野の春まで足を伸ばせますように。



夢違夢違
(2011/11/11)
恩田 陸

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春風の中、男二人が伊東に向かっている。

判事を引退した男と現役検事の男。
ある引退した実業家のホームパーティーに
参加するために。彼らは親子だ。

元判事は、移動中に降り立った海沿いで
通りすがりの子供達の会話を耳にする。
海にいるのは人魚じゃないんだよ

温泉付きの邸宅で優雅に暮らす実業家。
中原中也の詩。
波に打ち上げられる白い水鳥達の死骸。
目撃された人魚の泳ぐ姿。
車ごと海に飛び込み一家心中した家族。

ひとが自宅に温泉を引く理由は何だと
思う?

バラバラのピースをひとつひとつ
手にとっては、淡々と組み合わせていく
ふたり。
推理はさまざまな形をとるが
あるひとつの推論にたどり着く…

父と息子が静かに語り合う推理合戦。
クールで洗練されていて
まるでチェスの対戦をみているようです。

闇にある巨大なものが、ずず、と
動き出し、ゆっくりと立ち現れる瞬間の
ぞくりとする感覚。

いつのまにか、春風になぶられながら
潮の匂いをすぐそばに感じているような、
何もかも呑み込んでもなお、静かに
たゆたう海が目前に迫ってくるような。

海の向こう側の、あの光ったものは
人魚なのか、それとも白い波なのか。



象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)
(2003/02)
恩田 陸

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