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ぼーっとしたい。

時間は午後がいい。
緑が見える居心地のいい場所で。
そしてできれば、知らない街で。

ぼーっとする前はいつも忙しいのです。

仕事を慌ただしく片付け、家のことを
倍速でこなし、場合によっては荷造りして
列車に飛び乗ります。

エリアを絞り、素敵そうなカフェを調べ、
Googleマップを頼りに辿り着きます。

ようやく始まる至福の時間。
温かいお茶を飲んで、窓の外を眺めて、
本を読んで、流れてくる音楽を聴いて…
延々と繰り返します。

そういうときの読書は、さらさらと
目に与えるだけ、という感じなので
ほぼ行間の短編やエッセイ、雑誌がいい。

谷川俊太郎の、日記調エッセイなんて
すごくいい。朝ごはん何食べたとか、
近所の散歩のこととか。

雑誌だとクウネル、暮らしの手帖。
コロネーションチキン?美味しそう。
みんな丁寧に暮らしているのねぇ。

クウネルに連載している川上弘美の短編は
カフェで読む小説の理想です。

雨ふりの午後は
自分の輪郭があやふやになっていく感じ
がして、たまらなく好き。

あ、今日は午後から雨なんだった。
行かなくちゃ。



 
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神代植物公園で、牡丹の園に行きました。

なんという艶やかな存在感。

大輪の白い花が咲きこぼれる姿は
美女がゆったりと微笑んでいるようです。

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花
ということわざを思い出します。

牡丹の花言葉は高貴、だそうです。
確かに、やんごとなき婦人という感じ。

美人にもいろいろ種類がありますが
花のように美しい女がまとうのは
ある種の間、のような気がします。

時間も音も何もかもが遠のいて
世界が目の前の美女だけになる瞬間。

私がもし男だったら
全然釣り合わないのをわかっていながら
牡丹のような女のことを想って
眠れない夜を過ごしてみたい。

玉砕してもいいから、一度だけその
やわらかな真っ白い手をとって
帰らないでください、と引き止めたい。

振り向いた彼女からはきっと、
ことのほか上品な香りがすると思うの
です。



 

 

 

 

 
ここにくると、魚になったような気分に
なります。
どこまでも続く本の海をゆっくり回遊
しているような。

旅の本が読みたくて立ち寄ったのですが
じゃあスタバでお茶のもうかな、となって
テラス席で一時間ぼーっと空を見上げたり
建物に映る青紅葉の影を眺めたり。
(隣のお客さんが連れていたチワワと
何度も目をあわせた)

ギャラリーをちらりと覗いて書店に戻り
料理本、特集雑誌、写真集、ビジネス書…
森博嗣の、ひとは色々な問題について~
を買おうと思ったら在庫がなかった。
残念。

気づけば4時間も居てしまって、
いつのまにか外は夜です。

恵比寿から代官山あたりを散歩するのが
好きです。
坂があって細い路地がたくさんある。
いちいち全部入ってしまいます。
猫みたいに。

階段状の細い路地で、白地に黒ブチの猫が
じっとこちらを見ていたので、
猫さんこんにちは!と声をかけたら
奥から出てきた飼い主と思われる
おじさんとばっちり目があった。

声大きかったね!



 

 

 

 

 
急に目黒川が見たくなって、
夕暮れにさしかかる頃、ふらりと
立ち寄りました。

桜が川面に向かって長く枝を伸ばし、
緑の葉が風に揺れていました。
満開の頃はきれいだったんだろうな。

川沿いをぶらぶら歩きながら、散歩中の
犬をじっと見つめたり。
(トイプードルとは目が合った、
ボルゾイはさらりと目をそらした)

ふと行き当たった書店に入りました。

小さな、趣味のいい本を扱った古書店の
ようです。

幸田文、谷川俊太郎、深沢七郎…
それからマンレイの写真集。
胸が高鳴ります。
本棚からそっと抜き取り、ぱらりぱらり。

コーヒーを飲める細長いテーブルが
お店の真ん中に配置されていて、
ライトや色鉛筆など小物もさりげなく
素敵。
お客さんたちもゆっくりと流れる時間を
楽しんでいる様子です。

思いがけず長居してしまい、
そのあと元々行く予定だったカフェに
着いたら、すっかりバータイムに
変わっていました。

また来よう。



 

 

 

 

 
歩くのがあまり早くないので、大勢で
一つの場所に向かうと、大抵はぐれます。
むしろはぐれて気ままに歩きたい、
というのもありますけれど。

歩きながら考えごとをすることが多いので
一生懸命歩くと何も考えられなく
なっちゃうんですよね。

今夜も勝手にはぐれて、あるお店で
同僚たちと合流したのですが、
そこで蜘蛛の糸の話になりました。

殺生すると天国に行けないから、今まで
一匹も虫を殺したことがない、という
同僚の話から。

もし地獄に落ちたら何年お勤めすれば
いいのかな?と私が尋ねると
ずっとですよ、と他の同僚。
なんだ、刑期みたいなものだと思ってた。

一年に一度くらい天国にのぼれるチャンス
があってもいいのになあ。
厚い雲間からキラキラとした銀色の糸が
幾筋も降りてくる。
そういえば芥川龍之介の蜘蛛の糸は
どんな話だったっけ。

きれいな心と腹筋と背筋。

糸を登るために必要なもの。あとは…

ほろ酔いでぼんやり考えながらの帰り道。
最寄り駅を出たら、雨が降っていました。



 
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よしもとばななのエッセイの中で
一番好きで、たまに読み返します。

うっとりするほど挿絵がきれいなんです。

それと、縁、タイミング、処世術などの
目には見えない大事なことが
さりげなく書いてあるところがいい。

何年か置いて読み返すと
染みとおる言葉が多くなっていることに
気づいたりします。

私は何か答えを探すときに
まずはその対象、イメージでいうと
架空の砂の山のようなものに
腕をつっこんでがさがさやるんですね。
手探りでしばらく続けていると、
なんとなく輪郭がつかめてくるのです。

たとえばこんなふうに、人それぞれが
自分なりのやり方を持っていると思うの
ですが、なかなかひとと話す機会は
少なくて。

この本を読んだときに、あったー!
と思いました。

ある場所に長くいて、
少しずつ自分に嘘をついていると、
その嘘が固まって重くなってくる。
それを変えるには、無茶な行動をして
脱出するしかなくなる。

このエピソードを読んだときには
わかるなぁ…と深く頷いたり。

それから、
恋独特のシステムについての考察は
すごく面白いですよ。
納得しすぎて笑っちゃったくらい。



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トマトと揚げをナンプラーで炒めると
チーズの味になるのよね、うふふ、
と小さく喜んでいたのはさっきまでの私。

そこから4時間さかのぼると、
今月の仕事の進捗と段取りを後輩と
細かく整理する私。

こんな感じで、一日の中で夫的作業と
妻的作業を両方やっているのですが、
なぜか、夫時間が慌ただしくなると
妻時間も丁寧に時間をかけたくなる、
という比例の法則があります。

夫が暇なときは妻もさぼる。不思議です。

他の人はどうなんだろう…と
よく思うんですよね。

今夜もコマネズミ夫妻は働きづめで
読書の時間が全然とれないまま
タイムオーバー。

色彩を持たない男を横目でちらりと眺め…

週末は夫でも妻でもないただの女になって
つくるに会いに行く予定です。



 
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日曜の午後はいつものスタバにいく、
というのが習慣です。
窓の外をみてぼーっとしたり、手帳を
開いて予定を立てたり、もちろん読書も。

そこで隣り合わせたひとの会話が
気になってしまうことがあるのですが、
昨日は珍しく小学生の女の子ふたり。

塾のテキストを開いて、お互い問題を
出し合って答えて。たまにあだ名の話
なんかしたり。
為替差益とかマージンコールとかデジタル
な言葉が頭の中をぐるぐるしている中、
ふたりの会話は心地よい音楽のように
流れてきました。

会話の中でひとりの子が、きゃあっと
大声をあげました。するともうひとりが
ダメ!せっかく大人の場所にきてるん
だから、と注意していました。

多分スタバでお茶することが憧れだったん
だなあ、と微笑ましく思いました。

しばらく経って、注意したほうの子が
私に何かを差し出しました。いつのまにか
床に落とした私のしおりでした。

彼女の表情は固く緊張していて。

思わず、笑顔8割増量で(恋をしたての頃
初めてのデートで相手に向けるレベル)
お礼を言って受け取りました。

ああっ、かわいいなあ…

スタバのマグ、デザインが変わって
いました。
前のより飲み口が薄く、白一色でロゴが
浮き上がっています。
好きな感じ。うちにあってもいいくらい。



 
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これまでFXの本を何冊か読みましたが、
この本は入門書としてはわかりやすいな
と思います。

為替差益のリスクとリターンの基本的な
仕組みや、FX固有の用語、手数料、
スワップポイント、外貨ごとの特徴などが
丁寧に解説されていて、FXという王国の
成り立ちを知ることができます。

FXはハイレバレッジをかけてやるもの、
というイメージがあったのですが、
レバレッジ1倍で取引すると外貨預金と
しての使い方ができ、手数料がぐんと安い
ということも初めて知りました。

普段私たちは円で買い物をしているので
円で(を売って)ドルを買う、ユーロを
買うという円基準の考え方をしがちですが
FX市場ではその概念を一旦机に置いて。

私たちは円でもドルでもユーロでもない
お金を持って市場に入り、ユーロを売って
円を買う、ドルを売ってユーロを買う。
そういう色々な組み合わせでの取引が可能
というのが面白いなと思います。

外貨の組み合わせによっては初心者に
とっては難易度が高いようですけどね。

私はこの本を読んでから、通貨に対する
考え方の根本が変わりました。
難しいし奥が深いけれど、まずは
知るということに価値を感じたのです。



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どれだけ満たしてあげればいいんですか?

というフレーズがゴシック体で宙に浮かび
私はしばらく、蛍光灯に照らされたそれを
眺めていました。

職場での会話の断片だったから、それが
仕様を、であることはわかっていたけれど
妻を、とか、想いを、とかに
置き換えたくなりました。うずうずと。

今朝起きたら、テーブルの上のガーベラが
ふ、と首を下にもたげていました。
今度はわたしが尋ねました。
どれだけ満たしてあげたらいいんですか?

花瓶に新しい水を浅めに、栄養剤を何滴か
落としたら、彼女はまた顔を上げて
にっこり微笑みました。
よろしい、と。

昨日読んだ本にでてきた主人公は
心が空っぽだったなあ、と思い出します。

でもそれがわかってて自分でちゃんと
受け止められるのなら、
全然いいんじゃないかと思うんです。

空っぽなことに気づきたくなくて
そう好きでもないひととつきあったり
本当はつまらないのに声を上げて笑ったり
予定をいっぱい入れて賑やかにしたり
散らして、逃げて。

そういうのを全部しなくていいのなら。

プロにケアしてもらって、髪からは
ふわりとトリートメントのいい香り。

今夜私はどのように満たされようかしら。
サロンを出るまで、もう少し考えます。



 

 

 

 

 
多感な中学生たちの背徳と暴走、と
さらりとはくくれない、
深いテーマを扱った物語です。

仲村にある弱みを握られた主人公、春日は
彼女と契約を結び、女王と下僕のような
関係になります。

二人は窃盗など背徳行為を使って、
ここではない向こう側にいこうとします。
取り繕わない、本当の自分だけで
いることを目的として。

その行為はエスカレートしてどんどん
罪深くなっていくのですが
なぜか御祓のような儀式に見えて
くるのです。

いい子でいること、はみ出さずにいること
そんな鎧をばっさばさと脱いでいく。
露になって初めて見えてくる世界。

春日が憧れている優等生の佐伯は、
仲村によってみるみる変わって行く春日に
強く惹かれていきます。

もつれあう三角関係、闇とは。光とは。
出口とは。

思春期の制御できない渦巻くような
エネルギーと葛藤と憎しみが昇華する…

秘密や背徳が持つ解放感を知っていて、
自分のサイズ感というか
まともと狂乱との振り幅がある程度
わかっている大人が読むと、
引いた視点で見ることができて
面白いんじゃないかなと思います。

思春期にこの物語に出会ってしまうのは
ちょっと…だいぶこわいですよ。



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…点の集合体でゼッケンができるから

ゼッケン?

職場で聴こえてきた会話の断片です。

多分聞き間違いだけど、あえて聞き返さず
細かい黄色の点で構成されたゼッケンを
想像しました。数字は白抜きの2。

私は変な言葉の組み合わせを収集するのが
好きです。違和感の中での遊び。

岸本佐知子は、そういった意味では
師匠レベルの感覚を持っています。
私なんてぴよぴよのひよこだ、と
思います。

通常、人は三次元の世界で生きているから
異次元の壁の向こうには通り抜けが
できないけれど
彼女は壁をすいすいスルーして、自由に
行き来しているようです。(匠の技)

雨季、というエッセイが大好きなので
一部をご紹介します。

天気予報の映像をみる。
降り始めからの総雨量が、日本列島の上に
立体的な柱となって表示される。
赤や黄色や青。

その一番上の赤い部分をボンナイフで
少し切り取る。
ぷるぷると震える寒天のようなそれを
東北の山脈の上に乗せてみる。

どこかの山奥で、
バケツをひっくり返したような雨が降る。

黄色のグラフは、口に入れてみると
うす甘いらしいです。柑橘系。

今度やってみよう。



なんらかの事情なんらかの事情
(2012/11/08)
岸本 佐知子

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村上春樹の新刊がどこの書店にもなかった
ので、花屋でガーベラを買った。

世の中には村上春樹の本だけを読む人が
存在するのだろうか。
それとも、あらゆるジャンルの本読み達が
全員、村上春樹の新刊を待ち望んで
いたのだろうか。

謎。

発売日に買わなかったのが運の尽き?

ナンプラーは魔法の調味料だから
冷蔵庫の野菜を炒めるだけで夢のように
美味しい。

ふう。
少しまともな気持ちを取り戻す。

確かにこの頃の私は、梨木香歩の植物園や
岸本佐知子の鋭角なおしゃべり、果ては
進撃の巨人の戦闘シーンにうつつを
ぬかしていた。

本当は色彩を持たない男のことばかりを
考えていなければならなかったのに。

ガーベラは見飽きない。

私は色彩を持っている。


 
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新潮1300号シリーズの続きです。
今日は絲山秋子の短編を。

正月の帰省で実家に帰った龍一は、
妹の不在を強烈に感じる。
十三年間引きこもり、死んでしまった妹。

帰省中に参加した同窓会で、昔好きだった
女、やよいと再開した龍一は
新年2日の夜に食事をする約束をする。

食事をし、酒を飲み、彼女の部屋に
誘われて流されるようについていく龍一。

夢の中で、彼は絶望を買いに行く。
ごわごわした紙の許可証を受付の女に
そっと渡す。

彼の絶対音感を狂わせる磁場。
「窓がない部屋で出口のない話をする」

妹が残した啓示のような、謎めいたメモ。
あのメモに書かれた2013年がやってくる…

一晩の、虚無を抱えた男女の物語の
形をとっているけれど、そこにあるのは
濃い茶色と黒がまざった不透明な闇。
粘土みたいな、触るとねっとりと
心地いいような。

ひとが絶望を買ってまでほしいと望むのは
どういう時なのだろうか、と考えます。
何かを決定的に諦めたいとき?

絲山秋子が描く、単色ではない闇が
私は好きなんです。



新潮 2013年 05月号 [雑誌]新潮 2013年 05月号 [雑誌]
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今月の新潮は、通巻1300号とあって
豪華ラインナップ。総勢25名の作家による
短編が掲載されています。

その中からひとつご紹介しますね。

エリートばかりの家庭で目にいれても
痛くないほど可愛がられて育った主人公、
守。通称マモちゃん。

彼は高校生になって初めて同級生に
恋をします。聡明で美しい京子。

物語は終始、主人公の視点で語られます。

自分の家族は世界一素晴らしく、
自分は正しい。親にも兄弟にもひたすら
そういわれて育った守。
言動が一風変わっているため、
いつも周囲から浮いてしまいます。
授業中にとうとうと家族の自慢をして
教師にまで引かれてしまったり。

守には自分がクラスにとけこめない
理由がわからない。
でもそんなことは全然気にしない。
自分の持つ100%ピュアな心のままで、
京子を果てしなく追いかけるのですが…

この物語はある意味純愛を描いているの
だと思うんです。
けれど守と一般人との間に温度差が
ありすぎてホラーになってしまっている。

あまりに純粋培養されたひとは怖い。
他者と足並みを揃えるための
調節用の空気穴があるとしたら
彼のそれは全く機能していない。

風が抜けるはずのその穴には、家族からの
行き過ぎた愛情がびっちりつまっている。

相手との距離を図ったり会話の濃淡を
微調整したり、そういう技術を習得する
ために学校ってあるんですね、きっと。

鍵は正しい鍵穴のもとへ。



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100年前、人類は激減してしまいます。
人喰いの巨人たちに襲われたのです。

そこで遺された人類は、街に50mの壁を
築き、その中で暮らすようになりました。
壁の外の自由と引換えに安全を確保して。

街のエリートたちは、それぞれの兵団に
属します。王の元で街を統制し、壁を守り
そして壁外に出て巨人と戦うのです。

主人公のエレンは強い意志をもった少年。
いつか自分が巨人を倒し、壁の外の自由を
手にしたいと夢を抱いています。

ある日、どんな巨人でも届かないと
思われた先端の壁、ウォール・マリアに
めりめりと手がかけられます。
破壊される壁。そこから始まる惨劇…

巨人は、知性はないものとされ
人間が主食。身体は極端に高温で、
ほとんどが男性のような体つきです。
大きさは3mから15mほど。

のらりと現れる巨人が、軽々と街を
破壊し、虫のように小さな人間を
握りつぶして口に運ぶ様は
目を覆いたくなるほど壮絶です。

私がこの物語を知ったのはごく最近で、
巨人と廃墟と人類…?
不条理でシュールなイメージかな、と
思い浮かべていました。
けれど読んでみたら全然違っていて。

この世界は完全な弱肉強食の世界で
全然容赦がないんですよね。
生きたいなら、誰かを守りたいなら戦う。
とてもシンプル。

だからこそ魂をえぐられる。
鮮烈な、物語です。



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春は出会いと別れの季節です。

昨日の夜、長い間一緒に仕事をしてきた
同僚を見送りました。

とてもさみしい別れでしたが、
ああ、時期がきたんだな、と思いました。

ひととひとは、
いつまでも一緒にはいられない。
何かの縁で繋がり、同じ時間を過ごす。
然るべき時がきたら、離れていく。

それが自然なことなんだよなあ、
いつからか、そう思うようになりました。
川面に落ちた桜の花びらのように
ひらひらと流されて。

流される、というよりは
その大きな流れに乗るという感じで。

そしてまた別の場所に辿り着く。

午前中、窓の向こうに風花が舞って
いました。
一緒に彼を見送った同僚がいいました。
降ってくるのが桜の花びらならいいのに。

別れは新しい希望を含んでいるから
大丈夫なんだよ、きっと

そう、口に出さずに思いました。



 
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昨日、感受性の器官が全開に、という
状態のことを書きましたが、
その長く続かない時間を
もうひとりの私は冷静にみています。

なぜなら、媒体摂取のまたとない
チャンスだからです。

本を読んだり、映画を観たり、
音楽を聴いたり。

感覚が非常に増幅しているので、
いつもよりとろりと甘く身体に
入り込んでくる。
時に激しく胸を打ったりする。

そんな懸想的瞬間におすすめの短編を
ご紹介します。

「姫君」山田詠美
「おやすみ」川上弘美

それから、町田康の短編もいいなあ。
短歌ならもちろん、穂村弘です。

物語を読んでいて感じる色彩や匂い、
温度や気配。
それらを誰かと共有するのは
とても難しいと思っています。

物語を読んで、私の頭がそれを映像に
立ち上げるとしたら、
そのままUstreamで配信できたらいいのに。
時折、映像の中からほのかに花の香りが
漂ってきたりして。

そんな読書案内ができる日が来たら
何を一番にご紹介しようかな。
(やっぱり長嶋有の三十歳か…)



 
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これまで満天の星なら、何度もみたことが
あったけれど
満天の桜をみたのは初めてでした。

祇園白川沿いから先に鴨川が見える頃、
夜空を仰ぎ見るとそれはありました。

もし満天の桜に何かを願っていいのなら
私は桜になりたい。

風に揺れて花びらを散らせたいし
雨に打たれて濡れそぼりたい。
朝の光を浴びてつやつやと輝きたいし
誰かの肩にそっと舞い降りたい。

一日中さしていた紺色の傘には
花びらが何枚もついていて、
そのまま、そっとたたみました。

感受性という器官は、目や鼻よりは
耳に近くて、うまく開け閉めができない
のです。

いつもふとした拍子に全開になって
しまうのだけれど、
満天の桜を目にしたとき、それは起こり
いまも続いています。

恋に落ちた瞬間の感じにそれは似ていて。

今夜もうまく眠れないかもしれない…



 

 

 

 

 
椿という花を好きになったのは、
法然院を訪れてからです。

赤、うす桃色、白。ぽってりと咲く妖艶。

今回、春の特別拝観で、初めて法然院の
伽藍の中に入りました。

ひっそりと静かで慎み深くて、
そこここに椿が彩りを添えていました。

法然院は、後鳥羽上皇が寵愛していた
女官の松虫、鈴虫が出家をしたことにより
一波乱あった場所のようです。

歴史のお話をききながら、
すずむし、という名前にふっと顔を上げて
しまいました。

よく私は、古都を訪れると
リアルタイムでこの景色を観たかった
と思うんです。
例えば平安時代に。

現代のように情報も娯楽も
溢れていない時代に、
待ち焦がれて待ち焦がれて観る椿は
どんなにか美しかったでしょう。

京都に来ると立ち寄る、日本酒を出す店で
マスターと話していたんです。
春の京都の美しさは常軌を逸している。

ええ、逸しているのは
そんな春に心をかき乱されている私も、
多分。



 

 

 

 

 
京都に来ています。

桜ははらはらと花びらを舞い散らせながら
私を迎えてくれました。

高台寺の、枯山水庭園に一本、大きな
枝垂桜がありました。
風が吹くと、長い枝をしなやかに
揺らして。

ひっそりと舞を踊る美しい女のようで
じっとみつめたまま動けなくなって
しまいました。

敷地内の広いお庭を散策しているとき、
坂道の後ろを歩いていた年配のご夫婦が
静かに話していました。

生きててよかったね。
健康でよかった。

目頭がぐっと熱くなり、顔を上げて
お庭を遠く眺めました。

白い花びらを艶めかしく開く椿、
紅色の蕾を大きく膨らませた躑躅、
薄緑色の小さな葉をさらさらと揺らす柳、
そして、春を歓ぶように咲き乱れる桜。

それら全部と私が混ざり合って
いっそこの景色の中に溶けてしまいたい…
という甘い歓喜に包まれました。

美しい景色をみたいとき、
私はよく一人で旅をするのですが
それはいつも、私と景色の二人っきりに
なりたいからです。
全部の器官でぎゅっと感じたいのです。

これはもうほとんど逢瀬、かもしれない。

ようやく会えたね。



 

 

 

 

 
このブログをはじめて一年と少し経ったの
ですが、思わぬ副産物の話を。

仕事上、ひとに説明をする機会が多い
のですが、今日ふと思いました。
私、前こんなにしゃべれたっけ…?

頭の中で事態が進行して、実際口に出すと
話があちこち飛ぶほうなので
なんとなくざざっとまとめてごまかす、
ということが多かったのですが
以前より整然と話ができるように
なっていることに気づいたんですよね。

本を読んで要約してご紹介する、
紹介したい本を探してさらに読む、
というのを楽しく続けてきて
いつのまにか鍛えられた要約筋が
まさか自分の仕事に役立つとは。

一石二鳥だなあ。得した気分です。

日々お付き合いくださっている皆さん、
オススメ本を教えてくださる方々に
改めて感謝です。

私は盛り上がっているときにわーっと
行い、あとはぷいっと見向きもしない
ということが多いのですが(飽きっぽい)
やっぱりコツコツやるのって大事ね、
大事よ!なんて思いました。

習得したいことを日々の習慣として
組み込む仕組みを考えよう。
それとも、そういうこと書いてる本を
探そうか…



 

 

 

 

 
大物なので一度で紹介しきった気がせず…
今回は外側から眺めてみました。

私が村上春樹の本で初めて読んだのが
この小説でした。
鮮やかな赤と緑の装丁に心を奪われて。

それから羊を読み、ダンスを読み、
短編に遡り、としていったのですが
ノルウェイだけが異質だな、と
ずっと思っていました。

最近出た村上春樹のインタビュー集に
その違和感についてが説明されていて
ノルウェイだけが唯一リアリスティックな
手法で書かれた小説なんだそうです。

この本は難解かつシュールな展開がない
心の襞を丁寧に辿った恋愛小説です。
だから、これほど多くの読者の心に
届いたのかもしれません。

村上春樹は今後リアリスティックな
小説は書かないらしいので、
貴重な一冊になるのでしょうね。

登場人物の話を少しだけ。

例にもれず私は緑が大好きなのですが
彼女に出会うだけでもこの小説を読む
価値はあると思うんです。

独特の強い光なんだけれど、切なく
点滅しているような。

緑が主人公に想いを伝えるシーンなんて、
一回本を置いて猛ダッシュしそうに
なるくらい、きゅんとしますよ。



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村上 春樹

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ベクトルが一方通行の男女の物語です。

緑は僕が好きで、
僕は直子が好きで、
直子はキズキが好きで、
キズキは…

各々の想いは時折混線する。

時代的にシリアスだったせいなのか、
二十歳前後という純度の高い時期だから
なのか。
皆ひどく切実で、痛いんですよね。

登場人物たちが惹かれるベクトルの方向が
闇のほうに向かっているように思える
からかもしれません。

まわりに漂うのは濃厚な死の気配。

心を壊してしまった直子を支え
回復を待ち続ける僕は
それに疲れて、向日葵みたいな緑に
ふっと惹かれるのですが、
その揺れる感じがとてもリアルなのです。

緑と一緒にいれば普通に幸せなのにね…
と、さらっと書きそうになったのですが、
そうじゃない、と物語に叱られたような
気がしました。

ひとは幸せになるために人を好きになる
わけではない。
けれど、そのひとと幸せになりたいと
痛烈に願う。

恋とは過酷なものです。
けれど、それはひどく美しいものです。

ゆらりと形を変えて燃えつづける、
火のように。



ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)
(2012/03/13)
村上 春樹

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