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森の中に紫色の花を見つけると、
あ、夏がきたんだな、と思います。
今日は木陰のベンチからお届けします。

為末大の朝の説法をご存知でしょうか。
彼がTwitter上で書いている、お題を決めた
長めの読み物なのですが、
私が普段考えていることを鮮やかに言語化
してくれていて、日々の楽しみなんです。

数日前の話題で、
一度でいいから何かをやめる、主流から
離れるという体験を勧める、というのが
あり、ちょっと考えていました。
自分もそこから離れた経験があるので。

主流とか多数派といわれる場所は、
肯定という真っ白な光の膜に包まれていて
この親和的な感じ、日本で生きていくには
必須とまではいわないけれど、
あるとかなり生きやすい。
ただ肯定され続けるためにはそこでの
細かいルールを守らなくてはならない。

逆に少数派という場所に立ってみると
肯定膜がない分、世界はエッジが効いて
いる。風当たりは強く理解もされにくい。
けれど基本放っておかれるので
自由でエキサイティング。もう底抜けに。

どちらがいい悪いではないので、自分が
向いているほうを選べばいいし、
自分の持ち駒すべてを多数派に置いたり
少数派に置いたりする必要もない。

ただ、両方を知るというのは面白いな
と思うんですよね。
膜の存在なんて、そこを出るまで
全然知らなかったから。

午後三時をまわると日差しに金が混じり
木々の葉の色を少し変える。
空の色が一段優しくなる。

さっきより雀が警戒をほどいて、
チチ、と鳴いてこっちを見ています。
私もようやく森と同化してきたのかしら。



 
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今夜は久しぶりにライブにいきました。

俳優が谷川俊太郎の詩を朗読するのに
あわせて、奏者は太鼓をたたきます。
アフリカのリズムで。

自分はどうやら潜在意識がとても
大きいようで、それは詩を書くときに
重要な資質だ
谷川俊太郎が、どこかでそんなことを
書いていたのを思い出します。

太鼓のリズムが激しくなってきたときに
目の前にいる奏者が一瞬揺らぐ感じがして
自分という真空に音がざあっと流れこんで
きました。
多分顕在意識を通り越してまっすぐ深く。

陶酔と呼ばれるものは、潜在意識に
ダイレクトに響くのだな、と考えながら
聴いていました。

まだ風邪の薬を飲んでいて体中の感覚が
鈍く、それでもうっすら涙が浮かぶほど
だったので、クリアな状態だったら
どんなによかったか。

なぜかわからないけれど、
色彩を持たない多崎つくるの中の、
ジャズピアニストの緑川が話したトークン
のエピソードが頭に浮かんできました。

潜在意識は細い回路みたいになっていて、
アフリカの太鼓の音と緑川がみた色が
なぜか同じ曲がり角に入っていたりする。



 

 

 

 

 
昨夜は年に一度のスーパームーンで、
ぼんやりと東の空に上がりはじめた月が
きれいだったから、夜道をぶらぶら歩いて
プリンを買いに行きました。

道の途中の植え込みに咲いた白い薔薇に
鼻を近づけると、ひっそりと気高い香り。

空に浮かぶまん丸の月を見上げながら、
これが欠けることのない幸福だ
と思いました。

満ちるという感覚を、呼吸するように
味わいながら。

夏目漱石が、I Love you を
月がきれいですね、と訳したといわれて
いますが
このエピソードがとても好きなんです。
二葉亭四迷はなんでしたっけ。

愛してる、なんて直情的すぎて包囲でも
されそうです。

月がきれいですね、という言葉の中に
あなたも、を空気にふんわり含ませて、
でも言わないでにっこり微笑むくらいが
素敵だと思うんですよね。

あとはきっと、間がなんとかしてくれる…

あれ、こんなこと書くつもりじゃなかった
のですが、完全に趣味の世界にトリップ
してしまいました。
お月様のせいということで…



 
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劇作家の依田は、自身で手がけた舞台の
パリ公演の後、成田からの高速道路で
自動車事故に遭い、重傷を負う。
そして恋人だった女優、凉子を失くす。

依田とつきあいのあった作家の大野は
彼の妻から、事故後2年の間に彼自身に
起こった信じ難い奇妙な話を聞く。
そして、その話を小説にしてほしいと
依頼を受ける…

依田は時間が伸び縮みする世界に行って
しまったのです。
すべてが早回しのように過ぎて行く世界、
逆に地を這うようにゆっくりと進む世界。

時間の自由が利かなくなった依田は
考えます。
時間は、まだか、丁度か、もうかの
3つの姿をしている。

読み手はいつのまにか彼と同じ疑問に
囚われていくのです。
私の時間軸と他人の時間軸は同じなのか?

無数の桜の花びらが、宙に浮いている。
春の午後、依田は公園のベンチで
わずかに落下する桜の姿を見上げながら
依田は唯一性と交換可能性について
思い至るのですが
そこで私の時間も止まってしまいました。

とても重要なことが示唆されている
気がして、今もずっと考え続けています。

物語の中には、何度もはっとするポイント
があり、さかのぼっては立ち止まる。
難解だけれど、読み解きたい。
深く思索したい方はぜひ。



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NHK Eテレをちょうどあわせたら
荒木飛呂彦×千住明の対談が始まった
ところでした。

荒木さんはかの有名な漫画、
「ジョジョと奇妙な冒険」の作者、
千住さんは三千もの映像音楽を手がける
音楽家です。

一流アーティストの頭の中が知りたい。
テレビの前に正座です。

誰もやってないことないかな?
ふたりは常に探しています。
誰も教えてくれない、教科書にも書いて
いないこと。

面白いことは誰もやってないことなんだ
と二人は話します。

では面白いことの作り方は?

色んなことから影響を受けることが大事。
理解できないものでも、生理的に拒絶せず
取り入れてみる。

普遍的で質の高いものを作れる力と、
時代の風を感じて作品に投影する力
両方を兼ね備えて初めて
多くの人を熱狂させるのだろうな、
と思いながら見ていました。

誰もやっていないことでも
50年後に受け入れられるんじゃ遅くて
少しだけ先を。
これからという潮目を読む…

もっと聞きたい、というところで
トークは終わりを迎えて
二人は仲良くたらこスパゲティを食べ始め
番組はエンディングとなりました。



 
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今週は集中力がなく本が全然読めないので
ネットをふらふらさまよっていました。
延々ウィキペディアをハシゴしたり。

数日前から、文豪と呼ばれる人たちの
生涯を調べまくるというのに凝り、
あれこれ読んでいました。

一番強烈なのは太宰治でした。
このひとは自分を早く終わらせたかった
のだなぁ…と思わされます。
近くにいたら吸い寄せられるのかも
しれません。
暗く、澄んだ光を放つ星みたいで。

それと印象的なのは樋口一葉でしょうか。
短い命をまっとうした女。

書くものの色と生き方がイコールとは
思いませんが
エキセントリックな生涯を知ると、
そこに宿る過剰さを想像してしまいます。

そして、過剰さは自らを燃やしつくす
のかもしれないとも思うのです。

天才は、いつ自分が天才だと知るのか。
それは自覚があるものなのか、自在に
使えるのか、何かの拍子に降りてくる
ものなのか。
才能が枯渇した瞬間の音を聞くのか。



 

 

 

 

 
久保ミツロウのツイートで、ネット上での
モテキのアンコール連載が紹介されており
第四話を読みました。
映画は観たのですが漫画は初めてで。

この電車の中で、
彼女いないの俺だけじゃね?

主人公の藤本幸世が吊革につかまりながら
鬱々と過去のモテなかった経験を振り返る
のですが、内なる暴走というか、
エネルギーがおさまるところにおさまって
いない感じがすごく面白い。

その後、モテキドラマ化企画の、
ほぼ日対談にたどり着きました。

糸井重里、森山未來、浜野謙太、久保
ミツロウ。四人で語り合うテーマは
「愛というにはちょっと足りない。」

恋愛ものと呼ばれる物語や音楽は、
君が好きとか前提に愛があるものが多い。
でも、実際はそんなひとばかりじゃない。

モテキには、恋愛より手前の場所にいる
ひとが描かれている。
ピュアで切ない気持ちだけじゃなくて、
劣等感や見栄やずるさやさみしさ、全部が
ごちゃごちゃになって整理できない感じ。
それが多くのひとの共感を生んだんだな…
と思いながら読んでいました。
幻想じゃない、リアルなものとして。

対談の中、みうらじゅん的モテ方、
という話題が出てきました。

穴を掘るのは女、男はそれに落ちるだけ。
落とし穴に落ちた瞬間、男は叫ぶ。
好きだー!

受身的モテ道…恋愛はよく観察すると
奥が深いですね。



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もう寝なくちゃ、扁桃腺が真っ赤に
腫れているし、炎症止めを飲んで頭が
朦朧としている。

新潮七月号が床に転がっている。
平野啓一郎の依田氏の続きも読みたい、
小山田浩子のいたちなくは面白かった
からここで紹介もしたい。
でも今夜は、頭使う系はダメっほい…

私は休むのをよく忘れます。
全部のエネルギーを使い切って一滴も
なくなってもそれに気づかずに
動きつづけて、体が強制終了をかける。

赤いレバーががん、と降りた瞬間、
いいようのない敗北感に襲われます。
どうして自分が自分をくじくのか…
やりたいこといっぱいあるのになぁ…

やりたいことあったら、早く始めないと
すぐ死んじゃうよ

折に触れて、友人が言ったこの言葉を
思い出します。
時間は見えないから無限っぽく捉えがち
ですが、実はそうではない。
まして自由時間なんて…

彼女は私の目の前で、非常に困難な状況
から自分の夢を叶えました。

(ここで急激に眠気が。)

つづきはみなさんの夢におじゃまして
お話しますね…



 

 

 

 

 
ある日のスタバにて。

混雑した店内で、スタッフがひとりで来た
おばあちゃんに席を案内していました。

店の端っこで窓際の、比較的ゆったりした
席をすすめられたおばあちゃんは
さみしいからいやだわ、あっちがいいわ
と、ぎゅうぎゅうのカウンター席を
指していいました。

また別の日。

職場の同僚が、片道2時間の客先に
車で向かう、というときに
ドライブ楽しんでね、と声をかけると
さみしい旅ですよー、と返ってきました。

ひとによってさみしさの尺度が違うなと
よく思います。

誰かと一緒にいるのがスタンダード。
家族や友達や彼氏と一緒にいるのが
楽しいことで、ひとりは孤独でさみしい。

以前の私は世間やメディアから完全に
そう刷り込まれていて、世間が楽しいと
推奨することを実践していました。
でも、どうも違和感があったんです。
それだけじゃないよね…って。

ひとりでも心躍るほど楽しいことはあるし
誰かといたって壊死しそうなくらい
さみしいことはある。

それで、ちょっと試してみようと思い
しばらくひとりでいてみたんです。

すると、誰かといる時間とひとりで
いる時間を全く別のものとして楽しめる
ようになってきました。

ひとりでいるときは、自分と一緒にいる
という感覚で。

それは選択できることなんだとわかって
ひとつ自由を得たような気がするんです。



 
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日曜の午後のスタバはいつも混んでいて
いつもの席に座れないことが多いのです。

窓に面したカウンター席のはじっこが
ちょうど空いて、飲み物を乗せたトレーを
置いたとき、隣に座っている男の人と
目が合いました。

一瞬、日本人じゃないかも、と
思いました。東洋人の容姿でしたが。

一分の隙もなく上等なスーツを着て
カウンターの上にはノートパソコンが
置いてありました。

なにより日曜の午後に、コーヒーで一息
ついている平和な人々の中で
そのひとの発している気配だけが
あまりにもシャープで、ぎゅっと凝縮
していたので。

このひとの隣ではリラックスできない。
私はおもむろにトレーを持ち上げ、
入口のほうの席に移りました。
気圧されたんです。

これからしようとしていた趣味の勉強とか
ひたすらぼーっとして静止するとか
そういうことを少し恥じるような気持ち。

せっかくなので、ひとは何に気圧される
のだろう、ということを考えていました。

私の場合はですが、群を抜いて優秀そうな
ひとや、圧倒的に美しいひとを見ると
そうなりやすく、
このひとは並外れた努力をしている…
と想像すると、自分の中途半端さと
比較してしまうようです。

こういうのはよい種類の比較で、
自分も努力すればいいわけだから
出口があるな………努力できる?自分?

マグカップに口をつけたら、
お茶はすっかり冷めていました。



 
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白い花を、花屋で買ったことがきっかけで
専業主婦である主人公の私は
花や植物を育てるようになります。

一戸建ての玄関ポーチを彩るのは
バラ、アイビー、ワイルドストロベリー、
それからチョコレートコスモス。

時折、どこからかピアノが聴こえてくる。

ある日、植物の手入れをしていると
隣の立派な家に住む七十代と思しき
白髪の老婦人から声をかけられ、
ピアノの音が彼女のものだと知ります。

老婦人にお茶に招かれ、マカロンと
さくらんぼを手土産に訪問した私は
彼女の弾くピアノ、
リストの「愛の夢」を聴きます。

何度もつまづきながら弾き終えた婦人は、
私に依頼するのです。
この曲が完成するまで週に二度、そばで
ピアノを弾くのを聴いていてほしい…

老婦人、テリーと、私、ビアンカ。
ここだけで互いを呼び合う名前。
リストの旋律。私の胸の中に立つさざ波。

あきらめを含んだ平穏が、さらさらと
乾いた砂みたいに流れていく。
掴もうとせずにぼんやりと眺めるだけ。
もし掴めばそれは正しく輪郭を持ち
目の前に立ち現れてしまうから。

すべてを曖昧にして何も考えない。
穏やかに日々を生きるということは
そういう要素を多く含んでいるのかも
しれません。

物事はいつも割りきれなくて、胸の内に
余りが残る。

その余りの存在が旋律に乗って聴こえて
くるようで、それは淡くて柔らかくて
奇妙なほど心地いいのです。



愛の夢とか愛の夢とか
(2013/03/29)
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古い歴史を持つ山の上ホテル。

赤い鉄砲薔薇を生けた大きな花瓶の前で
ホテルマンの桜里は、新進気鋭の若き
小説家、清香と出会います。

透きとおるような肌、ほっそりした体躯、
女と見紛うほどの中性的な美貌。

ふざけて鉄砲薔薇をくわえる清香を
眺めながら、桜里は何かを思い出しそうに
なります。

遠い昔、大陸から日本の中国地方に
たどり着いたある一族のこと。
三十年前の、ホテルの一室で見た出来事…

短い物語で、伏線も少なめなので種明かし
すると、清香は吸血一族の末裔なのです。

ひとの血を吸いたい、というのはどんな
感覚なのか、と想像します。
お酒や薬の持つ絶対的欠乏に似ているの
かもしれません。
血を吸うときだけが生きているときで
あとは全部亡霊みたいなもの、のような。

読み進めていくうちに、ゆらりと清香に
魅せられて、頭がぼうっと痺れたように
なり、すっかり自由を奪われてしまう。
いや、そうではなく自ら差し出したのか…

物語の最後には鮮烈な展開が待ち受けて
います。

鉄砲薔薇の花びらが散る。
闇と真紅と、すべてをかき消す雨音と。



桜庭一樹短編集桜庭一樹短編集
(2013/06/13)
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最近、朝型生活をはじめました。

きっかけは、明け方の空の色が見たい
と思ったからです。
紫やピンクが淡く重なりあった青。

先日友人に、どうして明け方の空には
オレンジが混ざらないのかな、と尋ねると
夜から徐々に明るくなるから、空に紫が
混じるんじゃない、と返ってきました。

オレンジが混ざった光は、
本人の意向にかかわらず感傷のスイッチを
ぷちっと押すので、ちょっと苦手です。

物事をあるがままの形で考えたいときは
朝の光がいい、と思うんですよね。

今朝は5時50分に起きてみましたが
すでに太陽がばーんと高く上がっていました。

…これは4時前に起きないとだめかも。

私は午前中がとても好きなので、
平日の出勤前にゆっくりできるのは
贅沢です。

朝の光の中、公園を散歩するのも楽しい。
毎朝少しずついろんな花が咲き始めるのを
みては写真を撮り。

今朝撮れたてのお花はこちら。



 

 

 

 

 
先輩ROCK YOUという番組をみています。

今回のゲストは直木賞作家、
角田光代×桜庭一樹。ゴージャスです。

角田さん、子供の頃から国語だけ一生懸命
勉強してあとは全部ほっといたそうで
分数がわからない。その話をきいていた
桜庭さんもちんぷんかんぷん。
2=?/2 ??? 

角田さん、子供達にひとこと。
すべての授業を、きいてほしい。

桜庭さん、執筆1日2時間。
短距離走者のように集中して書くそうで。
誰にもあわず電話にも出ず2ヶ月間。
一方、角田さんはOLのように
9時から5時で書き、土日はお休み。

行き過ぎた愛、というお題で
桜庭さんは二人ものすごく好きな作家が
いるそうで、
好きすぎて影響を受けすぎて会いたくない、
というんです。

わかる…
あまりにも好きな小説は自分の体の中に
満杯に入ってしまっていて、
存在していてくれるだけでいい、
これ以上入れるのは無理、という気持ち。

角田さんちのアメショ、トトちゃんの
話にならないかなあ、とじっと待って
いましたが残念ながらその話題は出ず。
ひとのうちの猫をこんなに好きな私って…

桜庭さん、はじめて短篇集を出すそうです。
楽しみだなぁ。



 
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時々、宝を拾うことがあります。

私はTwitterで、多くの出版社や気になる
文化人をフォローしています。
それは書物の情報を集めるためなのですが
ネット上の同じ記事に対して、多くの人が
リツイートしているのが気になりだして
拾い読みし始めたのです。

すると思いがけず宝との遭遇が続き…
移動中、待ち時間の楽しみとなってます。

最近読んだ中で面白かったのは、
ほぼ日刊イトイ新聞での少し前の対談連載、
故、吉本隆明×糸井重里「本当の考え」。
朝日出版社第二編集部ブログでの
末位昭「自殺」をテーマにした連載。

相手のフィルターを通して見える世界を
知りたい。
できれば自分と全然似ていないひとの。

吉本先生は言わずと知れた、日本が誇る
巨大思想家ですが、糸井さんの質問に対し
深い透徹した視線で、可視化できない物事
や事象を物体のように説明します。
まるで目の前で見たかのように。
私はここで物事の成り立ちや均衡について
多くを知りました。

一方、末井さんは編集者。お母さんを
ダイナマイト心中で亡くした過去を持ち、
職を転々とし、沢山借金して女にもてて…
一見ちゃらんぽらんですが、その中に時折
生真面目さやお人好しさが垣間見える。
彼の認識する世界や判断、突飛な行動は
驚きすぎて口が塞がらないほど新鮮です。

さっきまで月乃さんとの対談を読んでいて
何度か涙が出そうでぐっとこらえました。
スタバじゃなかったらね。

ほぼ日刊イトイ新聞

朝日出版社第二編集部



 

 

 

 

 
肉骨茶。凄まじいタイトルです。
これは料理の名前で、バクテーと呼ばれる
シンガポールの薬膳スープのこと。

でも、物語は肉骨茶という語感に近い。

主人公の赤猪子は160センチ、35キロの
高校生です。棒のようにやせ細った身体。
食べること、脂肪がつくことを極度に
恐れている彼女は、太らせようと目論む
母親から逃げるために、旅行先の
マレーシアで脱走を図ります。

手引きは友人のシンガポール人の女の子、
ゾーイー、それから運転手のアブドゥル。

三人は海沿いにあるゾーイーの別荘に着き
ゾーイーの幼馴染、鉱一の到着を待ちつつ
暑い午後の時間を過ごします。

アブドゥルは夕食の肉骨茶の準備に
取りかかり、赤猪子は海岸に降りていく…

どうしたら何も食べずに済むか。
彼女は食べて吐くのではなく、食べた分
激しい筋トレで帳尻を合わせますが
その脅迫観念は狂気じみています。

鉱一の出現により四人の関係性がぐらりと
歪みはじめるのですが、全員が精神の
均衡を欠いているので、混沌に混沌を
塗り重ねるかのようです。

誰にも共感できない。
グロテスクなほどの生々しさ。
増幅し続ける奇妙な焦燥感の中、
なんとか行き着く先を見届けました。

神様。
そう頭に浮かんだのは何故だったのか。



肉骨茶肉骨茶
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abさんごで芥川賞を受賞した黒田夏子の
ドキュメンタリーをみたことがあります。

自分の作品は点一つ(編集者に)
いじらせません、という毅然とした言葉と
裏腹な、ひっそりとした微笑みが印象に
残りました。
ひと気のないカフェで、窓際のいつもの
席に座って。

まだパラパラとしか読んでいないのですが
画集っぽいな、と感じました。
それと、このひとは芸術家だな、と。

どうしても譲れないものを、受け手すら
拒絶しそうなほどの力で提示する。

番組の中で慎ましやかな生活の一部を
垣間見ることができたのですが、
このひとにとって書くという行為は
揺るぎなく人生の真ん中にあるんだな、
と感じたのです。

そのほかのことは全部二の次。
流れるのは尽きることのない情熱の鉱脈。

全部はとれない。

じゃあ何を一番にとりますか?



 

 

 

 

 
ここしばらく恋愛小説に食傷気味です。

世間の人々はそんなにいつも恋をしたい、
恋を摂取したいと思っているのでしょうか
…疑問です。

恋愛は多くの人から共感を得られるツール
だから書かれるのかな、と想像はしますが
もうその展開知ってる…
と思ってしまう可愛げのない読者です。

恋愛のエッセンスなしで、それでいて
息が止まりそうなくらい胸をかき乱す、
常軌を逸したものを探しています。

作家でそういったものを書くのは
絲山秋子、円城塔あたりでしょうか。
肉骨茶、という小説が話題になっていた
ので図書館で予約してみました。

グロいのと逸しているのはまた別で
物語にはある程度の品を保ったまま
狂乱していてほしいのです。(わがまま)

さっき久しぶりに普段飲まないコーヒーを
飲んで
(シナモンロールにはコーヒーでしょ、
かもめ食堂に習って。)
案の定胃痛が始まった中で書いており、
乱筆気味かもしれませんがご容赦を。

シナモンロールはもちもちしていて
夢のように美味しかったなぁ…



 

 

 

 

 
竹に花が咲くのは、60年か120年かに
一度らしい。
花が咲いた後の竹は一斉に枯れてしまう。

家の裏手の竹藪に咲く、稲に似た地味な
花をみて妻は、不吉ねといった。

津田は、部下の湯浅と営業でM…市に
向かいます。
列車に乗り込み、向かいあって弁当を
食べ、特に弾まない会話をぽつぽつと
しながら時間をつぶします。

さえない日常、盛り上がりに欠ける人生に
なかばうんざりしながら、一緒にいる
相手の言動に時々苛立ちながら。

車窓には見たことのない風景が続き、
なかなか目的地の駅に到着しないことを
訝しんだ二人は、聞き覚えのない駅に
降り立つのですが…

竹藪に咲く花の暗示的な言い伝え、
そしてNRという記号。

ノーリターン、戻らない。
いろんな意味に取れる言葉です。
会社に、家に、日常に、この人生に。
点滅する取扱注意の赤いランプ。

NR、と職場の行先掲示板に書いて出た
男たちが、いつのまにか運ばれた場所。

そこで男達と一緒に見た、鮮やかな色が
頭から離れないのです。
油性マジックで塗りつぶされたみたいな。

時間って本当に前だけに進むんですか?



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仕事を辞め、故郷の街に帰省中の僕は
右耳が聴こえづらい14歳のいとこを
連れて、バスに乗って病院に向かいます。

平日の午前中の街。
左の耳を心もち傾けるいとこの表情。
カーブを曲がる毎に、眼下に見える海。
もう長い間会っていない地元の友達。

食堂で診療中のいとこを待ちながら
7年前の記憶をぼんやりと辿ります。

友達の彼女が胸骨の手術するとかで
一緒にお見舞いにいったのだ。
彼女は金色のボールペンで
紙ナプキンにめくらやなぎの絵を描いた…

毎年、初夏になるとこの小説を読みます。
物語と同じ風が吹いている季節に。

めくらやなぎには強い花粉があって
その花粉をつけた小さな蠅が耳から
潜り込んで女を眠らせる。

物語の中で象徴的に語られるエピソードが
現実から少しだけずれた場所に読み手を
運んで行きます。

そういえば過去の記憶というものも、
今とはずれた場所なのかもしれません。
振り返った道がまっすぐ続いていると
思っているのは自分だけで。

答えが出ないことはたくさんあります。
ふいに答えが出そうな場所まで行きかけて
それが手にできないことも。

そうやって抱え続けていくものを
やわらかい果実のように描いている。
素晴らしい一編です。



レキシントンの幽霊レキシントンの幽霊
(1996/11)
村上 春樹

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あっという間に一年の中で最も好きな
六月がきてしまいました。

ほとんどこの季節のために生きている私は
今年こそは六月のまま時を止められない
ものか…と藤棚の下で考えています。

時折、藤の花の甘い香りが思考を横切って
いきます。

一日15時間眠らないと生きていけない
虚弱な、けれど非常に美しい妻である
美紀さんが、世にも優しい夫を亡くす。

美紀さんこれから大丈夫かなあ…と
思い出していました。
これは昨夜見た私の夢です。
全然知らないひとたち。

絲山秋子の「神と増田喜十郎」の中で
神様が歩道橋に碁石のように座りこんで、
この世は祈りが多すぎて神には生きづらい
と思っているシーンがありました。

渋滞する祈り。
神様も大変ですよね。

件の妻が夫に願ったのはひとつだけで
美紀さん、と呼んでほしい
ということでした。

祈りも厳選したほうがいいのかもしれない
そんなこと考えたこともなかったけれど。

やわらかな風が吹く、この藤棚の下では
祈りがひとつも浮かんでこないのです。

ひたひたと胸に満ちるのは
藤色と空の青と向こう側にみえる新緑と。



 

 

 

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