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美味しそうなもの、が読みたくなると
この本を手に取ります。

タイトルのとおり、ばななさんの日常の
ごはんについてがあれこれ書かれた
短くてぎゅっとしたエッセイ集です。

100話もあるのに、8話と71話だけを
30回くらい読んでいるなあ
と、今もまた読み返していました。

おうちキャンプについての8話では
残りご飯でバジルとチーズのおにぎりと、
梅おかかしょうゆと韓国海苔のおにぎりを
作って、あとは卵焼きとお味噌汁だけ。
家族で好きなテレビを見ながら、
手づかみでぱくぱく食べる。

この夕ご飯、美味しそう!食べたい~!
(そろそろ作ろうよ自分)

桃ときれいごとについての71話では
那須に住むお義父さんが桃をお土産に
くれるのだけど、下半分が真っ黒く
傷んでいて結局食べられなかった。
でも桃の形の優しさは受け取った…

最後をしめくくる、
人生がきれいごとだったらどんなに
いいだろう…からの文章が、
ものすごくいいんです。その世界観。
チャンネルがぴたりと合ってしまう。

ぐっと胸をえぐられたまま
雑踏の中で立ちすくむような気持ち。
半透明になった自分に、誰も気づかない。

何度も何度も読んだ、今でも。



ごはんのことばかり100話とちょっと (朝日文庫)ごはんのことばかり100話とちょっと (朝日文庫)
(2013/06/07)
よしもとばなな

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先週に引き続き気管支の調子が悪く、
煙草の煙に巻かれたら咳き込んで
死ぬな…と判断して
イタリアンの飲み会を断念しました。

美味しいもの食べたら治りますよー
とヘビースモーカー君に声をかけられ
苦笑いで退社。

おとなしく帰ろうと歩いていると
マスクの奥から喉がねだるんです。

更科のおそばを、つるつるっと食べたい。

もりそばひとつ。
蕎麦屋に寄ってオーダーします。

湿ってて喉越しのいいものの至福は
喉ががさがさのときに一番感じる。

わさびを控えめに溶かして、
薬味のねぎはどっさりいれて
おそばをつゆにちょっとつける。

ああー
美味し。

体調よくしたかったら
炭水化物だけのご飯とか絶対だめ
お肉と根菜と長葱と大蒜を食べなさい
鍼の先生の声がこだまします。

今ねぎ食べたしー

心の中で返事をしておそばをつるつる。

食養生の道はなかなか厳しいのです。
でもたまには、こんな日もね。

つゆに蕎麦湯を足してゆっくりすする。
はー。おなかいっぱいになっちゃった。

帰ってから聖☆おにいさんの続き読も。





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猫侍というドラマを友人にすすめられて
いま三話まで観ていたところです。

いかつくて無口な武士(現在浪人)と
真っ白の美人猫がふとしたきっかけで
一緒に暮らしはじめます。

藤で編んだ壺に、猫がよく入っているの
ですが、顔だけひょこっとみえるさまが
劇的に可愛く、壺ごとください…と
今、画面の前で身もだえしています。

猫好きの方、必見です。

このブログに訪問してくださる方は
猫を飼っていたり、猫ブログを持って
いたり、猫写真家だったり…と
猫好きさんたちが多く、どうしてかな
と不思議に思っていました。

犬より猫の距離感が好きというのは
書く文章にも反映するのかしら。

ということは、犬が大好きな方が
憩うことのできる文章もあるはず。
私、犬も好きなんですよ。
サモエドとか。

では犬っぽいアプローチで…

ええと…

なんとなく隙間がなくて陽な雰囲気
ですよね…




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明るいものや、ほわっと和むものは
多分ふつうに好きです。

でも、もっと好きなのは、
明るいものの中に暗いものがあやふやに
混ざっているもの。そのかすかな違和。

こういう趣向って、どこで決まるのかな
と思うことがあります。
きっとひとそれぞれ、落ち着くところが
あるのだろうな、と思うんです。

今の私にしっくりと馴染む、光と闇の配合
を求めて、読み物を探す旅は続きます。

この前ふと立ち寄った、夜の八幡宮は
ぞくっとするくらいよかった。
昼間に行くよりずっと。
ぼんやりと神様の低い歌声が聞こえて
きそうだった。

自分との境界線がなくなるような
溶け合う感覚。

ふと、闇に手を伸ばしました。
なにかに触れられそうな気がして。




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先週から、能町みね子が私の心の中を
占拠しています。

先日の対談で、色の話を書いたのですが
私は能町さんの持つ色がすごく好きなん
です。グレーのグラデーション。

自分の好みは絶対で、
一度囚われたら逆らえないものです。

オールナイトニッポンを延々遡りで聴いて
Twitterをチェックして、本読んで、
漫画読んで、あっ週刊文春の連載も…
と思いつき、これ以上摂取して
飽きちゃったらどうしようと心配して
セーブするほど。

色々面白い本が出ていますが、
元々きれいな男のひとだった能町さんが、
OLとして働きはじめた日記がこちら。

うわー、女になるって色んな設定や
エピソードの準備が必要なのね。
知らない用語がぞくぞく出てきて面白い。

くしゃみがこわい、など
周りにバレそうでひやひやする気持ち。
一緒になってドキドキしながら
読めますよ。


オカマだけどOLやってます。完全版 (文春文庫)オカマだけどOLやってます。完全版 (文春文庫)
(2009/08/04)
能町 みね子

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今夜はちょっと賑やかに。
箱のなかプロジェクトの対談コーナー、
「すずちまの重箱のすみっこ」出張編を
お送りします。

お相手のちま子さんは、箱のなかで
猫さんのせつない漫画と、濃厚な
ごはんコラムを担当されています。
大変な読書家の彼女と、活字トークを…


私ね、本を読んだあと内容を全く覚えて
いないことが多くて。
村田喜代子さんや武田百合子さんの、
ずっしりみちっとした文章が好きなんです
けど、内容というよりは活字を追っていて
気持ちいいかどうか、なんですよね。


それは、音楽を聴くのに近い感覚ですか?


近いと思います。活字を聴く、というか。
そのときの自分に合った活字の流れが
あるんです。涼虫さんが岡村靖幸さんの
音楽が好きなの、すごくわかりますよ。
あのひとの作る音楽はとても視覚的。
情報量が多いですよね。


そうかもしれません。私は活字を聴く
という感覚はないですね…多分、私は
活字を視る、なんだと思います。
字をみているんじゃなくて、イメージを
立ち上げて映像をみている。だから、
意味が大事なのかも。私はストーリーの
中で色がみたいんですよね。


色ですか。例えば、この色がみたい、
というのはあるのですか?


グレーがかった色ですね。
水色にグレーとか、赤にグレーとか、
ベースは何でもいいのですが、何かの色に
薄くグレーがのっているのが好きです。
クリアな色は、なんだか嘘っぽくて。


黄色が苦手だって言ってましたものね。
私思うんですけど、ひとは大きく、
耳のひとと目のひとに分かれる気が
するんです。


耳の国と目の国。


そう。多分、耳の国のひとは匂いにも
敏感な気がするんですよね。耳と鼻は
繋がっているからかな。
私もそうで。


そういえば私、匂いもあまり敏感では
ないかも…アレルギー持ちだからかしら。
きっと耳の国のひとは、音と匂いに
視覚的イメージがくっついていない
のでしょうね。
一度、映像抜きの世界を体感してみたい。


感覚ってほんとに不思議ですよね。
ひとによって全然違う。


五感テストみたいなのがあって、数値を
図れたらいいですよね。
このひとは視覚が強いけれど他は…
みたいな。


それ、面白そう!
心理テスト形式とかであったらやって
みたいですね。


↓ちま子さんのブログはこちら↓

ちまちま通信
子供と夫、ネコ2匹のささやかでほっこり
した日常鉛筆漫画。




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ひな菊の人生、という小説で
主人公の女の子が鉄板の前で焼きそばを
焼くシーンが繰り返し出てきます。
麺を炒めるじゅうじゅうという音。
ソースが香ばしく焦げるにおい。

あぁっ、焼きそばが、食べたい。

外はしとしと秋の雨が降っていて
でも暖かくて風かない。
夜の用事まで、まだ少し間がある。

ずっと行きたかった焼きそば専門店に
ふらふらと足が向きます。

初めて入る店は、量がわからない。
まずは並を頼んで様子を見ます。

目玉焼きのせソース焼きそば。
いただきます。

うーん、ソースが麺に濃厚に絡んでる。
目玉焼き、きちんと半熟~
そして、わかめ入りのスープも美味しい!

ああ…
並じゃ足りなかった。

メニューをもう一度じっくり眺めます。
顔をあげるとマスターの奥さんと
ぱちっと目が合います。

あんかけ焼きそばください。

お醤油味のとろりとした餡が
ぱりっと表面を焼いた麺によく合うの~

あぁ…
おなかいっぱい。(当たり前だよ)

確かひな菊の親友は、ダリアという
名前だった。

二杯目のほうじ茶をのみながら
ぼんやりと思い出す。




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昨日から声が男みたいになってしまって
暇さえあればずっとうがいをしているので
活字が読めません。苦。

YouTubeで、久保ミツロウ×能町みね子の
オールナイトニッポンをみつけて
まとめ聴きしています。これが面白くて。

ある回の冒頭で、ピーマンの肉詰めの
話題になりました。

久保さんが、今日はピーマンの肉詰めだ~
とInstagramに写真をアップしたら

「椎茸でやっても美味しいですよ」

と、かわいく絵文字付きのリプライが
あったらしいのです。
ここで激怒りの久保さん。

どうして?耳をすませる私。

久保さんは続けます。
これ、私が椎茸の肉詰めを全く知らない
人間だって馬鹿にされてますよ!
一番正しい書き方は、私が椎茸の肉詰めを
知っているであろうことを配慮して

「椎茸の肉詰めもおいしいですよね」

ですよーーーー!

聴きながらうがいを吹きそうに
なってしまいました。
久保さんの毒ってカラッとしてていいな。

そして多分、久保さんは日本語の感覚が
繊細で、この違いがあまりわからない
ひともいるんじゃないかなあ、と。

TwitterなどSNSで他人にリプライする
ときは、共感っぽい言い回しが
無難ですね。(本日の学び)

能町さんの淡々とした相づちもいい。

彼女は、世界中のひとに非を打ちたい
らしいです。
非を打てないひとにはどうすればいいの~
という声がせつない。

Twitterは2人ともフォローしていますが
面白いですよ。
能町さんのマイノリティー全開のつぶやき
が、最近の楽しみなんです。




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紙媒体をひとつ作りたいね、という
話からはじまって、
つい先日、漫画とコラムの読み物
「箱のなか」をリリースしました。

リリースだって…一度使ってみたかった、
この言葉。

私の担当は妄想的ショートストーリーと、
ちょっと濃いめの読書案内です。

ネットで書くのとは違うなと思うのは、
紙に書くときは、ある程度輪郭を
くっきりとさせたほうがいいと
感じるところ。

やってみないとわからないですね。
こういうのは。
まだまだ試行錯誤です。

いつかあなたの手元にも、
箱のなか、が届くことを祈りつつ…




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下北沢に行った影響か、東京下町の映画が
観たくなって、東京夜曲を借りた。

市川準作品ではトニー滝谷か東京夜曲か
というくらい好きで、たまに観る。

東京のさびれた下町で暮らす人々の日常が
やわらかな音楽みたいに撮られている。

しばらく失踪して町に戻った四十代の男と
その妻、喫茶店を経営する未亡人の女、
そして翻訳家の若い男。
四人の感情の交差がひっそりと描かれる。

桃井かおりは、適当な格好をして頭も
ぼさぼさで、古びた喫茶店のキッチンで
玉ねぎを刻んだりコーヒーを淹れたりして
いるのだけど、その立ち姿に否応なしに
吸い込まれる。ずっと見つめてしまう。
この色気はなんなんだ。どこから?

上川隆也が倍賞美津子に恋心を募らせて
しつこくしてしまうところが切ない。
そのときの倍賞美津子のきりかえしも
たまらなくいい。大人の女。

町と時間と感情が全部溶け合っている
ようで、ぼーっといつまでも眺めていたく
なる。

視線や間の映画だから、本にするのは
難しいかもしれないけれど、
角田光代や森絵都のような
作家個人の色が透明に近くて、
文章に魔法をかけられる作家に
毒気を抜いてさらりと書いてほしいな
と思う。
色が近いという意味では青山七恵が
いいかもしれない。



東京夜曲 [DVD]東京夜曲 [DVD]
(2009/12/23)
長塚京三、桃井かおり 他

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ひとり暮らし、結婚、家族、子育て…
それぞれのテーマで、群ようこの日々の
考えがエッセイとして綴られています。

その中に、森茉莉のエピソードが
差し込まれているのですが
エキセントリックなものが多く、
不思議なひとだなぁ~、と興味深く
読みました。

彼女にとってお父さん(森鴎外)だけが
永遠の恋人だったようです。
息子に対する愛情も特殊というか…
名前もすごいんです。長男はジャック。

帰宅した夫が私(森茉莉)よりも先に
子供の頬にキスをしたので怒ったという
話を森鴎外にしたら、それはフランスでは
普通のことなのにね、と答えたそうです。

群ようこのエッセイは、日常のこと、
地面に近いところで生きているひとの
思うことが粉飾なしで書かれていて、
いいなー、こういうひとの本は
ひとの気持ちを平準の位置まで戻すね、
と思います。



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太平洋の明るい海をみるのは久しぶりだ。
濃い潮の香りも、真っ白な日差しも
砂に足を重くとられる感じも。

東京より全然あったかい、私がいうと、
三浦半島は温暖なんだよ、友達は答える。

波打ち際をずっと歩いて、疲れたら国道
まで登って、また海を眺める。
豆粒みたいなサーファーたちが
波に浮かんでは消える。
坂口憲二いないかなー、友達がつぶやく。

海はすごいな、と思う。
下り坂の向こうにきらきらとした海を
みつけるだけで、
ぴったり貝のように閉じていた気持ちが
いつのまにか開いてしまう。
子供みたいに海ー!と騒いでしまう。

もうすこし穏やかなアプローチの、
森や小川や小さな滝のほうが好みだけれど
たまにはこんなくっきりした力を
受け取るのもいい。

さっき飲んだ白ワインの酔いが潮風に
乗って遠くに運ばれていく。

江ノ島まで行く?彼女は振り返ってきく。
靴の砂を落としながら、私は首を降る。
じゃあ鎌倉でコーヒー飲もうか。

江ノ電に乗り込むと、下校中の小学生の
女の子たちが顔を寄せ合っておしゃべり
している。
小さな肩。紺色と白のセーラー服。
大きすぎる黄色のランドセル。

あ、極楽寺。
駅に見覚えがあった。たしか冬の。
そう、キョンキョンのドラマのね。
友達がにっこりする。

鎌倉に着くと、女の子たちは一斉に
改札へ向かって駆け出していく。
あの年頃の子たちって、どうしてむやみに
走るんだろう?

オシャレなスタバと、昭和レトロな喫茶店
どっちがいい?
伸びをしながら、友達がたずねる。



 

 

 

 

 
よしもとばななの、もしもし下北沢を
読んで「茄子おやじ」のカレーに憧れる
ひとは多いんじゃないかなと思います。
私もその一人。

ようやく先日いってきました。
本当に住宅街の中にあるんですね。
丁寧につくられたルーカレー。美味しい。

ちょうど街でカレーフェスが開催されて
いて、黄色いパンフをもった人たちで
賑わっていました。

商店街を楽しくブラブラして、B&Bに
入ります。
この本屋はディスプレイがよくて、
思ってもみない本が見つかるのがいい。

カフェスペースでお茶しようかな~、と
思いましたが、イベントがあるようで
スタッフががたがたとレイアウトを
変更し始めたので、遠慮しました。

私はどこにいても、結局本屋にいるなあ…
そんなに好きなら自分で本屋やれば?
と思いついてみたり。

あ、それ、いいかも。まずは名前から。
涼虫書店、涼虫書房、涼虫堂…



 

 

 

 

 
ふたり姉妹、どん子とぐり子。
彼女たちは小さな相談サイトを立ち上げ、
メールをくれる人々とやりとりするという
活動をしています。

子供の頃に両親を亡くしたふたりは
親戚を転々として大人になった経緯があり
その時期の苦労や、祖父から受けた
深い愛情をあらためてかみしめ、ひとに
役立つことをしよう、と始めたのです。

ある日、姉妹あてに届いた一通のメール。
しばらく自宅に引きこもっていたぐり子の
内面に新しい変化が起こり出すのですが…

この姉妹はまったくタイプが違って
姉は賑やかに動き回って傷の存在を散らし
ながら進むタイプで、
妹はひとりじっと内省して、傷を治して
いくタイプです。

そんな両極のふたりが描かれているので
読み手の誰しもが、何かしらのポイントで
これ私のこと書いてるよ…と
本を閉じてうな垂れる瞬間があるんじゃ
ないかと想像します。

ひとは誰しも無傷ではないんだな、
そして、おいしくてエネルギーのあるもの
を食べたり美しい景色に触れたり
好きなひとの笑顔をみたりすると
それがちゃんと心の栄養になるんだな。

そして、日々のささやかな奇跡は
ちゃんと用意されている。

彼氏との韓国旅行から帰ってきた姉が
妹に最高に楽しかった報告をしてから、
うまくいくのがこわい、と子供のように
呟くシーンがあります。

彼女の世界との向かい方を知ってからの
その一言に、ぐっと胸がつまりました。
物語の中に一瞬で吸い込まれて彼女の
気持ちを体験したみたいに、リアルに。

ばなな作品では時々そういうことが
あるんですよね。

ものすごく、ひとを観察していないと
書けない何かがあって、それは意外に
誰も言葉にしていない。
だから一定のサイクルで読みたくなる
作家なのかもしれません。



どんぐり姉妹 (新潮文庫)どんぐり姉妹 (新潮文庫)
(2013/07/27)
よしもと ばなな

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以前ここで紹介した、つやのよる
DVDになっていたので観てみました。

艶の夫、松生を阿部寛が演じていますが、
ただ自転車を漕いでるだけなのに
このひとちょっとおかしい…とわかるほど
異様な存在感を放っています。
ぬめっとしたゾンビっぽさ。狂ったまま
生気だけ抜いたような気配。
ああっ松生だ…
彼のシーンに終始釘付けでした。

太田役の岸谷五朗も、期待を裏切らず
ほとんど妖怪レベルの不気味さです。
不動産を持つ資産家ですが、引きこもりで
コミニュケーション障害気味の変人。
姿は白髪混じりのおかっぱで着流し…
でもどこかかわいいところが、すごい。

脇役陣も素晴らしく、荻野目慶子の
ただならぬ妖艶さとキレっぷりに見とれ
奥田瑛二の不埒な色気に圧倒され…
余すところなしの豪華さなのです。

それでも、この映画はしんとしています。
原作の雰囲気そのままに。

やりきれない感情を長く抱えた女たち。
みな一様に、間接的も含めて艶に自分の
夫や男や父をとられているわけですが
モルヒネを打って眠る艶の姿を
実際に見たり、現実として受け止めると
ふっと表情が緩むのです。

あきらめが滲んで泣き笑いみたいになる。

女ってすごいな、と思います。



つやのよる (新潮文庫)つやのよる (新潮文庫)
(2012/11/28)
井上 荒野

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彼女は何かがあると、
北へ向かいたくなるのだそうです。
それを逃北、と呼んでいます。

薄い色をした空。吹きすさぶ雪。
そんな最果ての地にいると、安らぐ。

彼女の北というカテゴリは、
北関東の一部、東北、北海道、北陸と
広範囲に渡ります。
特に日本海側、鈍色の海がいいようです。
そして、寂れた雰囲気も大事。
さらに北にいる感か増すのですって。

彼女の旅は、新潟、青森、北海道、
そして海外のグリーンランドまで。
冷たい空気の中で、心を透明にしていく
さまは、厳かにさえ感じられます。

タイトルをみたとき、ええっ、と
驚きました。
私は逃げるなら南がいい、熱帯の島。
朝から泳いで昼寝して、美しい色をした
鳥の声を聴いて、ラム酒を呑んで。
何も考えずに緩みたいの。
逃げてるときくらいは。

でも、せっかくなので彼女の気持ちを
想像してみます。

自分の中に、もの哀しさややりきれなさ
や、うら寂しさがある。
そのグレーの感情は、処理できないまま
澱のように心の底にたまっていく。

北への旅は、同じグレーの色を持つ町に
自分をどぼんと沈めるようなことなのかも
しれない。

町と自分は同じ浸透圧だから、しっくりと
溶け合うだろう。その一体感、心地よさ…

南と北では癒しの種類が全然違う、と
気づいたのです。
遠ざかって星みたいに眺めるか、
とろりと液体になって同化するか。



逃北~つかれたときは北へ逃げます逃北~つかれたときは北へ逃げます
(2013/02/22)
能町 みね子

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ユリイカの特集を読んでいました。
書店で過ごす夜です。

記事を目で追いながら、私の頭の右隅で
ぱちっ、ぱちっと白い光が点滅します。

いまの気分にぴったりな、読みたい文章が
あるはずだ…
意識を光にあてたまま、そっと書棚に
目線を走らせます。
居た!

菊池成孔。
私はまだ、その音楽家のことを
よくは知りません。

どこかのカフェで、彼のエッセイを見開き
一ページ分読んだとき 、気持ち悪い…と
思うと同時に心臓がドキドキしました。
確か内容は彼がニューヨークに住んでいた
頃の人間模様のことでした。

尋常じゃなく乾いてる。白骨を粉砕して
さらさらにしたような。
でも、時折生々しさの残像をふと
感じるような。

あまり摂取しすぎてはいけない類の
文章なことはすぐにわかりました。

結局、書棚からはそのときのエッセイを
見つけることができず、
別の本をパラパラとめくりながら
(音楽のすごく難しいことがかいてある)
あれは恋だったなぁ、と思い返して
いました。
一瞬で自分の世界が遠のいた。

彼のアルバムを、一枚だけ聴いたことが
あります。

不協和音が闇の手を取り、ひっそりと
踊り出す。

大輪の百合の花が一輪咲いている。
音もなく白い花びらをいっぱいに開いて。
ずっと見ていたら異形なもののように
感じられて、でも目は離せない。

いつのまにかその闇にすっぽりと
くるまれていることに気づく。



 

 

 

 

 
前の回で少し触れましたが、
この物語の、次元がずれる感じがよくて
コンパクトな短編で、ここまでもって
いくのはすごい、と圧倒されます。
これまで30回くらい読んでいますが、
その度に。

はい、次元ずらしますよーという号令も
なく、場面切り替えもなく、気づいたら
その場所に立っている。
凍てついた空気、夜空に流れていく雲。
ここなのに、ここじゃない場所。

好きすぎて、なかなかこの場で記事を
書けずに一年経過。
なんというか、伝えようのない部分が
多すぎるんです。

もう、お願い、読んで~!
その一言で紹介したいというところが
本音です。

以前何かのインダビューで春樹氏が、
ちょっと表現がよくないけど、短編小説は
読み手をこまさなくては…
と話していたのですが、
その表現ぴったり。わかるー!と
思った記憶があります。

この物語は映画化されているのですが
それがまた、すごくいいので
興味がある方はぜひ観てほしいです。

やわらかく抑えた色味や、沈黙の度合い、
時間の流れかたがいいんです。
この監督のセンスすごいなぁって。
お母さん役の女優さんがたおやかで
妖艶で、みとれます。

彼が真夜中に踊るシーンは、言葉を失う
美しさ。
アングル、表情、夜の漆黒。

ああ、もう一回観たい。

この物語に対する私の熱量が伝わった
でしょうか。
実は私もすでに神の子どもたちの
ひとりです。

あ、踊りの時間だ。



神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)
(2002/02)
村上 春樹

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主人公の青年は、美しく信心深い母親と
物心ついた頃からふたり暮らしです。

あなたのお父様は神様なのよ
彼は母親からそういわれて育ちます。

風変わりで少女のように無垢な母親との
距離感を一定に保つには努力が必要で
その一切をごまかすために
彼はせっせと女の子とつきあいます。
母親の愛情は純粋すぎてあらゆる垣根が
ないのです。

ある夜、彼は耳たぶが欠けた中年の男を
見かけて、同じ電車に乗り込み、
あとをつけます。
いつか母親から聞いた、昔の恋人である
産婦人科医の話を思い出しながら。

あのひとが生物学上の父親だ…

これは神話なのでは、と思うのです。
彼は父に会おうとし、神に会おうとする。

誰もいない、真っ暗な二月の野球場で
彼は雲の流れにあわせて踊ります。
地面を踏み、手足を優雅に動かし、
身体でいくつもの図形を描いて。

そのシーンは、神に捧げる祈りのよう。
静謐で根源的な哀しみをまとい
触れてはいけない、
美しいよりもっとずっと透明な。
次元が少し、ずれる。

揺れる炎に見入ったときのような
ずっと見ていたい、ここから出たくない…
そんな感覚にとらわれてしまいました。

誰もが苦しむ場所で、誰もが迷う場所で、
生き続けること、踊り続けること。

読み終わったあと、夜空を見上げました。



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いろんな意味で反動がすごくて
ずーっと外で遊んでいたい
賑やかに騒いでいたい、
そんな日々を送っています。
社交筋全開。

大きなサイクルで、社交と非社交を
いったりきたりする傾向にあるのですが
いつも、ばさっばさっと。中間がない。

何でも、ものすごくやるか全然やらない、
のどっちかしかなくて。

ほどほどって、どうやってやるんですか?
憧れます。
ゆったりしてて、大人っぽいイメージ。

ほどほど、というのは
消化欲とか燃焼欲は満たされるの
でしょうか。

熱を灰になるまで燃やしたいみたいな
そういう感覚は。

今日は薄手のニットに袖を通しました。

森での一枚。
立ち枯れた紫陽花も、いいですよね。



 

 

 

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ありますが、どうぞおつきあいください。
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