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夫と二人暮らし、穏やかな日々を送る
美津紀は、ある昼下がりに立ち寄った
書店で「世界の神さま一覧」という本を
見つけて、何気なく手にとる。

イエスや仏陀などの有名な神様と並んで
「清濁併せのむ神」という見出しで
紹介されている神さまに、美津紀は
目を奪われる。

スリランカのカダラガマ神殿に奉られて
いるその神さまは、良き願いだけでなく
悪しき願いも叶えてくれる。

美津紀はその神さまのことが頭から
離れなくなる。スリランカのガイドブック
を買い、夫にはじめて嘘をつき、
スリランカへひとり旅立つ。

私は呼ばれているんだ、悪しき願いを
かけたいわけじゃない、と何度も自分に
言い聞かせながら。

バスを乗り継ぎ神殿に着き、本殿に入ると
中央には布地が張られ、派手なポップ
アートのような神様が描かれている。
大音量で鉦と笛と太鼓の演奏が始まり、
神官たちが一列に入ってくる。
祈祷が始まる…

彼女にはどうしても祈りたいことがある。
神殿のすさまじい熱気の中で、彼女が
自分の奥底にある深い闇に向き合う姿は
なにかとても厳しい修行のようで
ひとときたりとも目が離せなかった。

すべての色彩が濃く、熱気をはらみ、
強すぎる感情の波に当てられて
読み終えた後、湯あたりのような感覚に
陥った。

さっきまで私もその本殿の前にいたような
気がする。鐘の音が頭にまだ響いている。
そして思う。
神さまがひとを試すんじゃない、
神さまを前にしてひとは自分を試すの
だろうなと。
あぁ…。


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今夜はちょっと賑やかに。
箱のなかプロジェクトの対談コーナー、
「すずちまの重箱のすみっこ」出張編を
お送りします。

お相手のちま子さんは、箱のなかで
猫さんのせつない漫画と、濃厚なごはん
コラムを寄稿されています。


この前、設計者という本を読んだん
ですよ。


どんな本ですか?


ある日突然、人が死ぬんです。暗殺に
よって。事件性のない死に扱われるように
設計者が綿密に計画を練って、暗殺者が
実行するんです。


クールですね~。


でね、それを読んでて思ったんですけど。
例えばこの交差点を曲がらずにまっすぐ
行ったら、もっというと、今より心持ち
足を内股にして歩いたら、それが1年後
10年後、20年後って積み重なると全然
自分が違ってきちゃうんじゃないかって。
そういうこと考えませんか?


私はもう少し大雑把ですね。転機みたいな
タイミングで、二股の道のどちらを
選ぶか。
選ばなかった方の人生をたまに想像
しますよ。


私はね、ある小さな選択を一分後にした
自分、二分後にした自分、三分後に…
の真上にこれからの自分がタケノコ
みたいに伸びてて、横にはだーっと何十人
も自分が並んでるイメージなんです。
そして、この現実世界からずれたところで
彼女たちは存在してるんじゃないかって。


面白いですね~、その発想はなかった
です。村上龍の五分後の世界みたい。


私は設計図を信じてるんですよ。


設計図か…。ちま子さんはその別の彼女に
会ってみたいと思いますか?


うーん、特に会いたくはないんですよね、
ただどこかにいる、って確信している
だけで。


私は会いたいな、というか、こっそり
見てみたい。あちら側の自分に。こちら側
と比較したいというよりは、ひとつの
物語として。
あー、だから同じところぐるぐるまわっ
ちゃうんだって!とツッコミいれたり。
観客ですね。


あはは~映画みたい。


残念ながら、この現実世界では設計図は
上書きしかできない、と思うんです。
パラレルで走らせたかったら、新しく
もうひとり自分をつくるしかない…


えっ、もしかして…今話している
涼虫さんは…


…何番目の私だと思います?

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過疎の離島、美浜島の大自然に包まれる
ように暮らす中学生の信之。
美しい幼馴染の美花と早熟な恋をし、
懐いてくる近所の輔を疎ましく思いながら
退屈な島の中でもそれなりに楽しく
日々を送っていた。

ある夜、美浜島に大津波が襲いかかる。
偶然にも山の神社に登っていた三人は
命を取り留める。島に住む者は全滅と
思われたが、虐待を繰り返す輔の父と
旅行者の山中が生き残っていた。

まもなく美浜島を出るという夜、ある事件
が起こる。信之は美花を救い出す。
それは暗い秘密となり、二十年の時が
流れる。

信之は公務員となり、南海子と結婚し
一人娘にも恵まれ、穏やかな生活を送る。
ある日、信之の元に輔が現れる…

圧倒的な暴力にさらされると人はどう
なるのか。物語では、その行方が重く粘る
ような筆致でシリアスに描かれている。

心を失った三人は、どのような力を使い、
どのように戦うのか。
癒えることのない傷は、本人たちの中だけ
に留まらない。周りの人間も怖れ、不安を
覚え、傷ついていく。

輔のねじ曲がった愛の求め方に、信之の
氷のような冷たさに胸が痛む。

なにより女優となった美花の心の闇が
あまりにも深く、誰の心よりも恐ろしく、
哀しい。
類稀ぬ美貌を持ち、かつ魔女のような力を
操り全てを意のままにするのに、
当人は不幸から抜け出すことができない。

損なわれてしまったものと、脈々と
続くものについて思いを馳せた。

この物語に光というタイトルをつける
三浦しをんのセンスに、ひれ伏したい
ような気持ちにさせられる。


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夜になりかけの頃、ジュンク堂に入った。
新潮六月号を買おうかと思ったけれど
見つからなかった。売れてるというのは
本当なのだな、と思った。
町田康の「雨女」が読みかけなのだ。

文庫コーナーに流れ、三浦しをんの
「光」をぱらぱらと読み始めたら
止まらなくなってしまった。
しをんマジックには、いつも圧倒される。
好みではない分だけ吸引力がよくわかる。

店を出たらすっかり夜で、何故か旅先に
いるような気持ちになる。
夜食に美味しいパンも買ったし、ホテルに
戻る前にちょっとだけスタバに寄ろうか
みたいな。自由だ。

夕方に読んでいた絲山秋子のセネガル紀行
が終盤にさしかかっている。少しずつ
大事に読んでいたから残念に思う。

彼女は二ヶ月の滞在で本当にセネガルが
好きになっていて、日本語で話したいこと
なんて何もない、 と泣いた。
もちろん気持ちはわからない、
けれど私もちょっと涙ぐむ。
迫ってくる感情の厚みに感応する。

絲山さんは私よりもっと低音で、
そこが心地いいのだ。

夜空の漆黒を見上げる。
今夜は風がない。




 

 

 

 

 
闇金ウシジマくんは、テレビドラマから
入った。漫画も読んで、昨日は映画、
Part2を観てきたところ。

ウシジマくんは十日で五割の闇金、
カウカウファイナンスを経営している。
ここには、どこからもお金が借りられない
ひとたちが集まる。
パチンコ依存症の中年女、都会に出てきて
夢を見る若者、ホストに貢ぐシングル
マザー、ギャンブル狂いのサラリーマン…

ウシジマくんは客に融資をする。
そして利息を十日ごとに取り立てる。
やり方は非情きわまりない。

彼にしても、楽な仕事ではない。
客は得体が知れない。どんな性質なのか
わからない。
とんでもない嘘つきかもしれないし、
刃物で襲われるかもしれない。
突然行方をくらますかもしれない。

映画では、ナンバーワンを目指す若手の
ホストと、彼に恋する未成年の女が
出てくる。
まだ何者でもないふたりは、胸を巣食う
無力感、喪失感をお金の力で埋めようと
もがく。
ふたりはどこまでも堕ちて行く。
心を削って、身体を削って。
凄まじいスピードで。

双方にお金を貸すウシジマくんは、
あるきっかけでふたりのストッパーの
ような役割を果たすのだけど
どんな形でも止めてくれるひとがいて
よかったじゃない、と思う。
自分で自分を止めることができないの
なら。

世の中には自分に厳しいひとと甘いひと
がいて、甘いひとはウシジマくんの客だ。
何も考えたくない、今だけしのげればいい
自分を大きく見せたい、有名になりたい、
女にモテたい、楽していい思いしたい…

ウシジマくんはそういう、欲まみれで
思考停止しているひとを見抜く。
そして、客はいつのまにかウシジマくんに
依存するのだ。

弱肉強食、という言葉が近いようで
少し違うと感じるのは、
ウシジマくんが教えてくれることの中に
あるような気がする。


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週末から、久しぶりに結膜炎でがっちり
目がはれてしまったので、仕方なく
アイメイクなしてごつめのメガネをして
職場に通っている。

目の形が違うと人相が変わる。
不細工やのう…とブルーな気持ちで
過ごしていたのだけど、せっかくなので
今の私を観察することにした。

まず、世間に対しての基本姿勢が
恥じ入っている。
見苦しくてすみません、みたいな。

それから美人が眩しい。うらやましいと
いうところまでたどり着かない。
まるで遠くの真っ白な光のよう。

誰にも会いたくないし、しょうがないから
こつこつ仕事をして、小さくても
ひとの役に立とうと思う。

逆に、誰にも会いたくない今がチャンス
かもしれない、と日頃さぼっていた調べ物
などをし始める。

そうするとやるべきことが次々とあふれ
出してきて、ちょっと楽しくなってくる。

私今日がんばったな、と思いデパ地下で
水ようかんを買って帰る。

ごはんの後、ジャスミン茶を淹れて
水ようかんを食べる。
あ、なんか幸せと思う。

そして気づく。
今日、わりといい日だったかも。




 

 

 

 

 
最近暇さえあればcakesに入り浸っている
影響もあって、cakes発信の新しい
SNSサービス「note」のアカウントを
整備してみました。

雰囲気はTwitterとブログのいいとこ取り
みたいな感じでしょうか。見た目も
シンプルでなかなかいいです。

タイムライン形式なので、ブログのように
インデックス作ったりはできないみたい
です。今のところは。
自作のアート作品とか音楽がわりと
多くアップされていました。

私は文章と写真くらいしか出すものが
ないですが、こういうひとたちにはいい
ツールかもしれませんね。

noteの特徴は、掲載した記事を
簡単に無料か有料かに設定できます。
有料は100円〜10,000円まで。

いろんなひとのページを見てみましたが、
文章の場合は、途中まで無料でここから
有料、みたいなものでした。
ブログなどでよくある形ですね。

どうでしょうねぇ…これまでSNSは
色々やってみましたけど。
今ではTwitterだけに生息していますが、
理由はただひとつ。文章が短いから。

noteでも涼虫という名前で存在します。
記事っぽいものはこのブログで書いて
いるので、noteではもっと適当にだらだら
書く感じにしようかな、と思っています。

すでに始めている方、これから始めよう
かなという方、気が向いたら遊びにきて
くださいね。

今日の記事はcakesの回し者か、みたいな
内容です…


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

note






 

 

 

 

 
cakesで、コラムニストの小田嶋隆氏と
アル中対談をしていたときから気になって
いたひと。
編集者、中川淳一郎氏。
今日ブログを発見して、あれこれ記事を
読んでみたんです。
編集者の方の書くものだから面白いことは
お墨付きだろうな…とかなり期待して。

もう…面白すぎて面白すぎて、泣くほど
笑いました。
それは軽くて薄い笑いじゃなくて、
脳も気持ちもびっちりと満たされる
笑いです。

内容はかなり辛辣でむき出しです。
痛烈な批判もあるし、自己主張がハッキリ
しています。
それをすさまじいキレで書き切っている。
娯楽と説得力がぎゅっとセットになって
いるんです。

常に強烈な面白い書き手を探している、
アマゾン川の飢えたピラニアのような私を
ああ満腹…もう今日はいいよ、寝るだけ…
と牙をしまって微笑むような気持ちに
させてくれました。

ああ、今持っている文庫本に戻れなく
なっちゃったなぁ…
なんてすごい爆破力…
(目の端の涙を拭く)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ウェブはバカと暇人のもの


 

 

 

 

 
3月より粛々と、
フリーペーパー「箱のなか」を
制作しておりました。

今回の色は、薄桜です。
ほわほわとした白に近い、うすいピンク。

制作中はテーマの色をずっと
壁紙のように脳の中に貼っているのですが
優しい色だったせいか、やわらかい
気持ちでいました。

共同制作者のちま子さんか描き出す色と
私が書く色がまた違っていて
不思議な気持ちになったりもしながら。

皆さんの中の薄桜色は、どんなイメージ
なのでしょう。

対談、重箱のすみっこでは、
服の色や装飾品の好みについて
あれこれとおしゃべりしています。

お楽しみいただけると嬉しいです。


 
テーマ * ブログ ジャンル * ブログ

 

 

 

 
二村ヒトシ氏はAV監督です。
仕事柄、女優さんの話をじっくり聞く
そうです。相手の背景をよく知ると、
いい作品が撮れるのだとか。

さてこの恋愛指南書。
心理学の教科書かと思うほど、緻密な分析
がされています。

繰り返し出てくるのは、心の穴という
言葉。

これは誰しもが持つ、幼い頃に親によって
開けられた穴です。
劣等感、さみしさ、自己犠牲…
ひとは皆それを埋めたい。どうにかして。
恋はそのためにするものです。
親との関係のやり直しなんですね。

もう一つのキーワード、自己受容。

自己受容ができていない(=自分が嫌い)
ひとは、いつまでも手に入らない相手に
憧れ続け、身近な自分に好意を持っている
相手を下に見てしまったりします。

また、多くの女性を渡り歩いてしまう男は
そういう自分(俺すげー)に恋をしている
だけで(=インチキ自己受容)
相手の女性自体には恋をしないようです。

恋には最初から憎しみが含まれているとか
恋をしている間には愛には行けないとか…

昨日ご紹介した、信田さよ子さんとの対談
も巻末に掲載されています。

読んでいるうちに、自分の心の穴の形が
ぼんやりと浮き上がってきました。
それは、ちょっと目を覆いたくなるような
ものでした。

ああ、私はずっと自分のことが好きでは
なかったんだなあ…と。
(今はわりと好きです)


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cakesで連載している二村ヒトシ氏の
「キモい男、ウザい女。 」

最新の記事には、臨床心理士・信田さよ子
さんとの対談が掲載されています。

お題は「どうしたら幸せになれるのか」
「恋愛と狂気」について。

信田さんはいつも言うそうです。
「一目惚れする男とは絶対につきあわない
ようにすれば、あなたは幸せになれますよ」

一目惚れは絶対に自分の「ヤバい」ところ
に反応している。
そして「自分の何がその相手を求めさせた
のか」を自覚してほしいと。

これはすごく興味深い…と思いました。
身に覚えがありまくりです。

私もそうで、いいなと思うひとには
内面にある一定の傾向があって、
蓋を開けるといつも同じものが出てくる。
あれ、また引いちゃったって。
年齢も職業も容姿も違うのに不思議です。
そして、私がなぜ反応するのかは
今だによくわからないのです。
ここを掘り下げるのは面白そうだけれど
ちょっと怖いような。

きっとひとそれぞれ、あるのでしょうね。
逃れられない傾向と、それを作り出した
原因…
まるでひとつの物語のようじゃない
ですか。
仄暗い秘密の。

どうか、あなたの物語を私にだけ
こっそり教えてください。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「一目惚れ」しなければ、恋愛で幸せになれる

 

 

 

 

 
今日は月誕なのでゆっくり朝寝て、
好きなものを作って食べて、録画して
おいたドラマをまとめて観ていた。

事件屋という職業の人々は、食うか
食われるかの世界で生きていた。
崖っぷちみたいな場所で。
自分は狭い世界で、しかもどっぷり
ぬるま湯に浸かりながら生きてるな…

時間があったのでしばらく落ち込んだ。
久しぶりだな、と思った。

今日は普段しないことをする、という
コンセプトだからいいのだ。
いつもなら慌ただしくてゆっくり落ち込む
時間すらとれない。
(そんな暇あったらアイロンかけろ的な)
ある意味、贅沢な行為なんだろうな。

落ち込むのは、寝込むのに似ている。
いつも元気でハイで居続けると、
見えないキャッシュがたまってくる。
デトックス、ああそれだな。私が今
していることは。

夕暮れ前に森へ散歩に出かけた。
週末とはまた別の花々が咲いている。
そこここに、溢れるように。
大きな木の幹にかかった札を読み上げる。
八重桜。

まもなく日が暮れる頃、スタバに入り
熱いお茶とシナモンロールを頼んだ。

シナモンロールは、映画、かもめ食堂を
観てから好きになった。
たまに、特別な日にだけ食べる。
外側にかかっているシュガーも好きだ。

甘いものは脳を優しくくるむな…

さて、世にもきついヨガのレッスンに
いってきます。




 

 

 

 

 
自分に負荷をかけたときは、それに見合う
ご褒美をする。
できればその直後に、長くても同日内に。

内容はささやかでいい。
一杯の温かいお茶、心が満ちる音楽、
たっぷり汗をかく運動。

すみやかに相殺すると、ストレスとして
体内に残らない、と思っている。

今夜は照明を落とした、シックなカフェに
来ている。
ゆったりしたジャズピアノが身体に
流れ込んでくる。

お店の壁際に、大ぶりにディスプレイ
されたピンクの花にみとれる。

きれいな花ですね。

これ、木瓜の花なんです。少し前から
咲き始めて、ちょうど今日が一番
いいですよ。

わがままをいうときは丁寧にお願いする。

この花が見える席に移りたいのですが。

快くどうぞ、といってもらえたので
いまぼんやり木瓜の花を眺めている。

木瓜という漢字を初めて知った。

そばの席に座っている女の子たちの
恋愛の話が聞こえてくる。
ふわっとしたスフレみたいな、そして
頭痛がするほど退屈な。

こういうときよく思う。
息か止まりそうなほど面白い話がしたい。
こんこんと泉が湧き出るように尽きない、
四次元の話を。

さて、移動しようかな。




 

 

 

 

 
cakesで書評の連載をしているfinalvent氏
の「極東ブログ」がすごく面白いんです。

久しぶりに、えぇぇ~!となりました。
私がうすぼんやりと思うこと、全く言語化
できていないことを、深く考察して
公の場に出しているひとをまた見つけて
しまって。
この旅は終わりはないのだろうけれど。

書かれていることはちょっと難しいので
(私にとっては)よくよく噛み砕いて
読むのですが、分解して理解するときの
感じがすごくいいんです。

最新の記事では、ある天才青年の書籍、
「読む・書く・考える IQ200の「学び」
の方法(矢野祥)」の書評から、
天才とは何かについて考察されています。
私もこのお題はずっと興味がありました。

天才の秘密のひとつとしてfinalvent氏が
あげているのは、
「彼は雑事をすっきり捨象する知性を
持っている、常人がもつ人生への
くだらない悩みのようなものがない」
というもの。

私は実際にこれに近いひとを知っていて、
このひとは余計なメモリを食ってない…
と感じるんです。
その分才能を伸ばしていくことに邁進
できる。
ただ、ひとのごちゃごちゃした感情は
あまり理解できないようだ、とも。

この記事はすごく面白くて何度か読み返し
ました。

まだまだ読み応えある記事がたくさん
あるようでゆっくり読んでいこうと
思っています。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

極東ブログ

 

 

 

 

 
昨日今日と、
思いがけず超好きなひとに会った。
男の人ひとり、女の人ひとり。

好きなひとはたくさんいるけれど、
超えちゃってるひとはそれほどいない。
違いはどこにあるのかを考えていた。

彼らはまず自分の世界を持っていて
自足している。
内側が豊潤なので外から採ってくる必要
がない。
たとえば流行や価値観なんかを。
そのせいか、似たひとがあまりいない。

それから、余裕があるのでひとに優しい。
とても自然に。

私にとっての特別なひとたちとは
たまに会うのがいい。
日常に落とし込んだら、慣れてしまう。
そんなもったいないことはできない。
恋愛なんてもってのほかだ。

会う度に、常軌を逸するほど感動したい。

感動を守るための適切な距離というものが
あるのだ。



 

 

 

 

 
昨日、そう好きではない曇りの日には
ニュートラルになれると書いて
また少しそのことを考えていた。

日常に寄り添うものは、好きすぎない
ほうが長続きするかもしれない。

特に好きでも嫌いでもない仕事や
それほど気は合わないけど個人として
尊重できるひとたち、
一年を通して概ねオッケーな気候。

好きすぎると自分を失ってしまう。
その対象への熱や感謝の気持ちで
ふわっと自分が持ち上がってしまう。
あるいは同化したくなってしまう。

そうすると、時に判断をあやまったり
いつのまにか疲弊してたりする。
好き、は私から簡単に冷静さを奪う。

それほど好きではないものが私の日々を
淡々と支えてる、とあらためて思う。

そうか…
今まで気づかなかったけど、それって
大事だなぁ…
ほんと、感謝だなぁ…

あっ、思いすぎると好きの二の舞に。



 

 

 

 

 
曇りの日は楽だということに気づいたのは
旅の途中だった。

晴れだと嬉しくてテンションが上がり
すぎるし、温かい季節の雨は大好きなので
じっと見入ってしまう。
感度のスイッチを切って、無になれるのは
曇りの日だけなのだ。

早起きして、朝ごはんを食べに行って
その足で海まで散歩して、日が高くなって
きたら観光地に向かって。
あのお店も見たい、ランチは何にしよう。

違う。
忙しすぎる。

空を見上げる。
さっきまでの青空が、一面白い雲に
覆われている。

ふっと肩の力がぬける。
ああ、白い。

無になるまで、もう少し。



 

 

 

 

 
スポーツ用品店の営業マンである木野は
予定より早く出張から戻った夜に
自宅で妻の浮気を目撃してしまう。
相手は自分の職場の同僚だった。

木野はその足で自宅を出て行く。
勤め先を辞め、妻と別れ、ひっそりとした
隠れ家のようなバーを開く。
バーの名は木野という。

そこには一匹の猫が居付き、ぽつぽつと
常連客がつきはじめる。

カウンターの端に座って静かに本を読む
スキンヘッドの男。
情事の前か後に訪れる不穏な気配を
漂わせたふたりの男女。

木野は淡々と日々を送る。
古いレコードをかけて、客に酒を出す。
そしてある雨の夜、木野は常連客と
暗い秘密を共有する。

いつのまにか、店に猫が姿を見せなく
なる。
代わりに現れるようになったのは
たくさんの蛇だった…

店の空気というのは、どんな風に
つくられるのだろう。
誰かが訪れ、気配を落とし、帰って行く。
それが何度も何度も繰り返される。
誰かのため息が空気にとけて、別の客が
それを吸い込む。

読み進めるうちに、いつのまにか物語から
漂う濃い霧のようなものに取り巻かれて、
動けなくなってしまった。
私は陶酔しているんだと気づくのに
時間がかかった。
毒がまわった身体で、きらきらとした
啓示を見上げているようだった。

物語に出てくる回路が、自分の中にも
あるのはうすうす知っていた。

これからは注意深く迂回しなくては
ならない。
止まない雨の夜には、特に。


女のいない男たち女のいない男たち
(2014/04/18)
村上 春樹

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