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この物語、実はドラマを先に見始めて
結末を知りたくないので、まだ小説に
手をつけられないでいる。

クリスマスの夜、高級マンションの
一室で、あるセレブ夫妻が殺害される。
その現場に居合わせた、若い男女四人の
人間模様が描かれている。

15年前、10年前、現在とランダムに
起こった出来事が映し出される。

登場人物たちは、過酷な過去や現在を
生きている。
突然父親に捨てられた希美、継ごうと
していた実家の料亭を失う成瀬、子供の
頃に母に虐待を受けた西崎、叶うことの
ない片思いをずっと胸に抱える望。

それでも、絶望の縁から空を見上げて
光を見ようとする。

皆、名前にNがつく。そしてそれぞれが
自分にとってのかけがえのない、
Nのために生きている。

誰かが大事すぎて、自分のことはもう
どうだってよくて、ただそのひとだけの
ために、そのひとを救いたいと願う。

そこに流れるのは、確かに愛情なのだと
思う。
それなのに哀しくて哀しくて仕方がない
のは何故だろう。
引き換えだからなのかもしれない。
誰かを幸せにすることで、自分は無傷
ではいられないから。

この世には叶わないことが多すぎるし、
哀しいことも多すぎる。

でもこの世に対する愛情を手放したく
ないと思う。


Nのために (双葉文庫)Nのために (双葉文庫)
(2014/08/23)
湊 かなえ

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二条通りを歩いていると、パン屋が
併設されたカフェにたどり着く。

お店に入る。
吹き抜けの天井は高く、ゆったりと
ソファーが置かれ、その先にはテーブル
席が続く。一番奥には中庭がある。
本棚にはびっしりと本が並んでいる。

私は中庭に近い長テーブルの席に着き
紅茶を頼んでパンを買いにいく。

夜のパン屋が好きだ。
オレンジ色の光を受けたパンたちは
つやつやと美味しそうに見える。

ブリオッシュ生地のレーズンパンと
フレンチトーストを選ぶ。

席に戻ってお茶が出てくるのを待つ。
隣では外国人の男性がノートパソコンを
開きずっと作業している。
斜め向かいには仕事帰りの男女(多分
恋人同士)が肩を寄せ合ってひそひそと
話している。

私は持ってきた文庫本、ゆずゆずりの
続きを読む。
こういう場所ではついガイドブックを
開き、先の予定を立てたくなるが
もったいないのでやめる。
私はゆったりと時間を過ごすために
ここに来たのだ。

居心地のいいカフェだ。
申し分なく内装がスタイリッシュで
でも温かみもある。

なにより距離感がいい。


 
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カウンターの席だけが壁に沿ってぐるりと
あって、背表紙を取った文庫本が並んで
いて、みんな本を読んでる。
誰も話さなくて、すごく静かなの。

ぜひ行ってみてほしい、と知人にいわれて
今、そのカフェにきている。

店の中にはごく低いボリュームで音楽が
流れている。
ひとり客ばかりで、席に着くとみな
静かに本を開いて読み始める。
ひっそりとした小さな図書館のようで
椅子を引くときの、ごと、という音に
何度か驚く。

店主は面差しのやわらかい、物静かな
男の人だ。

丁寧に淹れられたカフェオレと、バナナ
シナモントーストが運ばれてくる。

食事の後、私は並んでいる本の中から
吉田篤弘の「針がとぶ」を手に取る。
詩人だった叔母とその姪の話。
このひとの書くものは淡い、と思う。

その後、持参していた東直子のゆずゆずり
を少し読む。
熊野古道に行ってみたいとまた思う。

お店のブックカバーとカードをもらって
店を出る。

いつのまにか外は夜になっている。




 

 

 

 

 
ユウコは配送会社の事務をしている。
今夜は自分の同僚と家具屋で働く彼氏、
トシの同僚を居酒屋で引き合わせている。

本当は今日トシに話したいことがある。

ユウコは絵を描いている。
以前、西麻布のバーてホステスをしていた
とき、ユウコはある客に自分の手書きの
名刺を渡す。
画家なのか、ユウコは聞かれる。

毎日、しかも一日二十時間絵を描き続けて
飽きないなら画家だ。
その男はいう。

ユウコは彼を、他人だ、と感じる。
自分との間に見えないガラス板がある
ような。

一方トシは自分との境界線がない。
例えば一緒にテレビをみたり雑誌を読んで
いると、自分が自分なのかトシなのか
わからなくなる。

ユウコはある強い夢を抱く。それを現実に
しようとしている…

他人に言われる言葉はインパクトが強い。
関係に甘えがない分、説得力があるの
かもしれない。

彼女は今自分がなまぬるい内部にいること
そしてその向こう側にはくっきりとした
外部があることを知ってしまった。

そうなったらもう戻れないだろうな、
と思う。

蘇生、という言葉が何度も浮かんで来た。


空港にて (文春文庫)空港にて (文春文庫)
(2005/05)
村上 龍

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美緒子は同じ職場の上司である与田と安定
した社内恋愛をしている。
ある週末、与田は美緒子に奇妙な告白を
する。

実は今、元妻がうちに帰ってきていて
しばらく滞在する。
君に彼女を紹介したいんだ。

その妻は十五年以上前に与田と離婚して
いるが、たまにふらりと帰ってきては
与田の家に数ヶ月滞在しているらしく、
今回で六度目だという。

美緒子は混乱して一度与田を自宅から追い
返すが、翌日、与田の家を訪れる。
彼は不在で、元妻が玄関に出てくる。
あら、美緒ちゃんね、と。

元妻、奈津はさっぱりとした女だった。
ジャグリングで生計を立て、国内外を
ひとり転々としている旅芸人だという…

この物語には孤独とは何か、その光と影に
ついてが丁寧に描かれている。
奈津は孤独のプロで、孤独の落ちこぼれ
である与田を救った。
美緒子は奈津にどんどん惹かれていく。

ひとりぼっちでいると、あざやかに自分が
いると感じる、と奈津はいう。

これすごくわかるなぁ…と思う。
誰かと一緒にいると、楽だし暖かくて
楽しいのだけど、自分の輪郭がぼやけて
くるような気がするのだ。

輪郭がくっきりしていて、ただここに在る
奈津を、泣きたいような気持ちで見つめて
いた気がする。読んでいる間ずっと。

でもこのひとは私の前からもさらりと
いなくなっちゃうんだよなぁ、と
思いながら。


愛なんて嘘愛なんて嘘
(2014/08/22)
白石 一文

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